健康診断で慢性腎臓病宣告に異議あり!

3年前福岡市の保健所で健康診断を受けました。そこで驚かされたことがあります。診断結果を聞きに行ったところ、「あなたは、eGFRが50%を切っているから慢性腎臓病です。」と言われ、4枚の印刷物を渡されたのです。腎臓は一旦悪くなると回復しないということは知っていましたから、愕然としました。今まで一度も腎機能が悪いと言われたことはなく、いきなり慢性腎臓病と言われショックを受けました。eGFRとは推定糸球体ろ過量のことで、腎臓の老廃物の排出能力のことということでした。これまで一度も聞いたことのない言葉でした。なんでも最大は100%で50%と下回ると、慢性的な腎臓病の状態にあるということでした。「ではいずれ透析に至るということですか?」と聞くと、保健師は「そういうことになりますが、食事に気を付け、適度な運動を行うなど生活面を改善すれば、進行を遅らせることができます。詳しくは、別紙記載の病院に行って相談して下さい。」と言います。重病を宣告されたに等しい絶望感でした。これは一種の診断行為だから、医師が説明すべきだろうと思いました。

それで早速別紙にあった病院に行きました。ここでも不思議なことは、泌尿器科のある病院でなく、一般的な内科クリニックが指定されていたことです。そのクリニックの医師に健康診断表と渡された慢性腎臓病の印刷物を見せ、来院の理由を話しました。「それではもう一度血液検査をしてみましょう」と言われ、採血しました。その後検査結果が出ると、eGFR推定の基となるクレアニチン値が1.04から1.00に低下しており、eGFRは50%丁度となり、微妙なところと言われました。そして医師が言うには、「今のeGFRはクレアニチン値から推定しているが、クレアニチンは筋肉から放出されるから、筋肉が多い人からは大量に放出され、筋肉が少ない人は放出量が少ないという特徴がある。だから正常値は男性1.10に対して女性は0.80になっている。従って、筋肉が増加していれば、或いは検査の前に運動をしていれば、クレアニチンの増加は腎臓の機能低下のせいではない可能性がある。」ということでした。クレアニチンではなく、シスタチンC値を検査すれば、もっと正確な診断ができるというので、検査してもらいました。その値から算出したeGFRは70%以上あり、慢性腎臓病には該当しないと言われました。

そこで保健所で受けた健康診断表の数値を良く見て見ると、腎機能を表す尿中のたんぱく質、糖、潜血は陰性で正常ですし、血中尿素窒素(BUN)も正常値内でした。クレアニチン値は1.04と前年の1.00より0.04悪化していますが、1.10までが正常値であり、腎機能の総合判断は「正常」になっていたのです。なのに、クレアニチン値から推定したeGFRが50%を切ったからと言って、慢性腎臓病と宣告するのは大いに矛盾があることが分かりました。クレアニチン値から推定するeGFRは、クレアニチン値1.00を上回れば50%を下回ります。クレアニチン値は1.10が正常値ですから、クレアニチン値が正常値でも、慢性腎臓病という判断になってしまうということなのです。まったくおかしい限りです。保健所がなんでこんなことをしたのか推察するに、最近腎臓透析患者が増加し、健康保険から支出される透析費用が増加してきたため、これを抑制するべくeGFRという基準を持ち出し、慢性腎臓病ということで注意を喚起しようとしたものと思われます。しかし、慢性腎臓病と言われた者は、たまったものではありません。それくらいのこと保健担当部門なら分かりそうなものです。保健所は、客観的な健康診断よりも、政策誘導を重視することが分かったので、以後保健所では健康診断は受けないことにしました。