携帯電話、12兆円の国民収奪システム

携帯電話料金として一体いくら支払われているかご存知でしょうか?携帯電話3社の売上高が約12兆円ですから、12兆円近く支払われていると推測されます。これは、国民の財布から約12兆円のお金が携帯電話3社に吸い上げられていることを意味します。日本の税収が約57兆円、医療費が約41兆円ですから、如何に巨額になっているかが分かります。まだ適正な負担なら仕方ありません。しかし、適正な負担とは言えないところが問題です。携帯電話3社の営業利益は約3兆円です。利益率は約25%あります。日本でこれだけ利益率が高い業界が他にあるでしょうか?それも携帯電話事業は、国民の電波を使った公益事業であり、インフラ事業です。携帯電話事業が公益事業、インフラ事業であることを利用した国民収奪システムとなっています。何故こういうことになったのでしょうか?それは総務省が携帯電話3社が儲かる仕組みを作ってあげているからです。

業界第3位のソフトバンクの2017年3月期の決算を見ると、国内通信売上高は約3兆2千億円、営業利益は約7,200億円です。営業利益率は約23%に達します。この利益がソフトバンクが海外で巨額のM&Aや投資を行う原資となっています。即ち、ソフトバンクのM&Aや投資の原資は、日本の国民の家計から出ているのです。孫社長は、決算発表の席上、「私どもは、総務省の決めたルールに則り事業をやっているだけ」という趣旨のことを言っています。即ち、この国民収奪システムは、総務省が作っているということなのです。監督官庁が儲かる仕組みを作ってくれるのですから、携帯3社にとってはこんな嬉しいことはありません。日本で回線を持っている携帯電話会社は3社しかありません。正常な競争が行われていれば、3位は赤字かぎりぎり黒字というのが普通の業界です。しかし、3位のソフトバンクの決算がこれなのですから、携帯電話業界には競争原理が働いていないというのは明らかです。2年縛りや4年縛り契約を3社が取り入れ、通常2年間や4年間解約できませんから、競争原理が働かないのは当たり前です。これが携帯電話3社の高収益を可能としています。携帯3社の回線を借りた携帯電話サービス会社を格安携帯(スマホ)と言っていますが、携帯電話3社の収入は殆ど減っていない、即ち家計から吸い上げられるお金は減っていないのですから、格安ではありません。携帯電話3社の回線使用料を下げない限り、家計負担は軽くなりません。携帯電話3社の営業利益は、今の10分の1、約3000億円あれば十分であり、携帯電話の回線使用料を少なくとも半額に値下げすべきです。そうすれば、家計の負担額は大幅に減少し、来年10月からの消費税引上げに耐えられます。

こういう状態になったのは、公正取引委員会が機能していないのも一因です。公正取引委員会は、地銀の合併に異議を唱えたり、リニア工事の談合を摘発したりと、教科書通りの対応しかしていません。2年縛り、4年縛りという新しい競争阻害方法に手も足も出せない状態です。日本の国民から巨額のお金を収奪している携帯電話における不公正な取引方法にメスを入れることこそが、公正取引委員会が今最もやるべきことです。

今、電力などの公益事業会社が携帯電話業界のこのやり方を真似ようとしています。電力会社から2年契約を進める提案が来ている方も多いと思います。これが広まると、価格は固定され、競争は阻害され、電力会社は高収益体質となりますが、その分家計は苦しくなります。公益企業にこのやり方が広まったら、家計から吸い上げられるお金が増え、日本の多くの国民は干からびます。

携帯電話料金問題についても「携帯電話料金党」を作って国会に議員を送る必要があるかも知れません。