国民自然災害保険制度の創設が必要では

今回の広島・岡山・愛媛を中心とした豪雨被害は、死者200人を超える甚大なものとなりました。昨年は福岡県朝倉市を中心とした北部九州豪雨があっており、日本中どこで起きてもおかしくないと痛感させられました。特に今回の豪雨の被害を見ると、倉敷市真備地区は2mくらい水没しているところがあり、呉市では普通の山が崩落し、家の1階部分まで土砂に埋まっているところが多数見られ、これまで以上に恐怖を感じました。特に土砂災害については、日本には山の麓に建てた家が多く、どこでいつ発生してもおかしくないと思います。これは今の山ができてから長い時間が経ち、その間多量の雨に降られた結果、山の内部の土が流され、大雨で崩壊しやすい状態になっているのではないかと思われます。奈良県十津川村の山を見ると、山の斜面の土は大方流され、薄い山肌の土に木が生えており、大雨が降れば山肌全体が斜面を滑落しそうな感じです。多かれ少なかれ日本の多くの山がこの状態になっているように思います。

被害後2週間経っても土砂に埋まった家はそのままですし、生活再建が思いやられます。先ずは避難所から行政が借り上げた被災者住宅に移るとしても、その後の生活の目途が立たず、暗澹たる気持ちで毎日過ごす被災者が多いことと思います。多くの国民からの義援金や寄付が一助となるとは思いますが、住宅の再建となると2000~3000万円かかり、目途がたたない人も多いと思われます。

地震も含め、日本ではどこでもいつでも自然災害が起きても不思議ではなく、だれでも被害者になる可能性があります。これは自動車保有者がいつ事故を起こすかわからない状況とおなじです。自動車保有者には、事故の被害者が損害賠償を受けられるよう自動車賠償責任保険への加入が義務付けられています。そもそも日本には、いつなんどきなるかも知れない病気に対処するための健康保険制度が完備されています。日本では地震や豪雨などの自然災害はこれらと同じくいつ誰に起こってもおかしくないものであり、これへの備えは、国民的保険制度として確立した方がよいのではないでしょうか。そのため、個人加入となっている地震保険も吸収し、国民自然災害保険制度を創設することを提案します。これは、全世帯加入が義務で、例えば毎月各世帯保険金として500円拠出します。年間では6,000円で6000万世帯とすると年間3,600億円が集まります。これを原資として、地震や豪雨で住むための住宅を失った人に1人2000万円を限度として住宅再建資金を提供します。これにより被災者は住むところは確保できます。自然災害で住宅を失っても保険で再建できるということになれば、人生に大きな安心感が生まれます。日本に生まれてよかったという気持ちになります。日本に住む人たちの一体感を高めるためにも良い制度だと思います。