カード決済手数料3.25%、中小小売店は損するだけ
11月13日の新聞報道によると、経済産業省は、来年10月からの消費税引き上げ対策による売上落ち込み対策とキャッシュレス決済促進を目的として、カード決済した場合にはポイントを還元する制度を実施し、カード会社の手数料は3.25%とするようカード会社に要請するとのことです。既にカード決済に加盟している中小小売店の手数料は最低5%と言われており、こちらにとっては手数料が安くなるということでメリットがあります。しかし、現在カード決済を導入していない中小小売店がカード決済を導入しても、全く効果はありません。単に利益が3.25%減るだけです。カード決済を導入していない中小小売店が扱っている物は、日用品、小物、価格の比較的安い物であり、カード決済の必要がない物です。カード決済の中小小売店のメリットは、現金とりわけ小銭を扱わなくてよいことですが、3.25%も利益が減るなら、割に合いません。カード決済にしたら売上が増えると言うこともありません。従って、まだカード決済を導入していない小売店がこれを機会にカード決済を導入することはないと思います。また、導入してはダメです。3.25%の手数料は、期間限定であり、期間が終了したら本来の手数料に戻ります。そうなると5%を超える手数料を取られることになります。そしてカード決済の増加に伴い、どんどん手数料を上げられます。これは、リクルートが中小旅行会社からツアーの参加者募集業務を代行したときから始まったお決まりのやり方です。中小小売店は、カード決済を導入したら苦しくなるのは間違いありません。
それに、クレジットカードは、低所得者や定年退職者は持てません。審査に通らないのです。その結果、格安スマホも持てません。格安スマホはクレジットカード決済しか認めていないからです。カード会社を利用して信用調査と債権回収を行っている形となっているためです。そのため、カード決済によるポイント還元は、低所得者や定年退職者にはメリットはありません。
カード決済を促進するのなら、安価な手数料の決済システムを準備するのが先です。中小小売店およびお客(買主)とも銀行口座は持っているのだから、口座間で決済する銀行のデビットカードなら安い決済手数料でできるはずです。デビットカードの場合、使えるのは口座残高の範囲内ですから、与信や回収の問題がないため、コストは安くなります。これを整備してからでないと、カード決済によるキャッシュレス化は無理です。今の経済産業省のやり方は、カード業界の支援策としか思えません。