ハリルホジッチとゴーン解任、日本人の国際化待ったなし
ゴーン逮捕と日産の代表取締役解任は、今年4月にあったサッカー日本代表監督ハリルホジッチの突然の監督解任と重なります。共にフランス人で、実力はあるが、自己主張が強く、傲慢とも映る行動に特徴があります。この特徴は、フランスの国民性であり、フランス人にとっては当たり前のことだと思われます。それに対して日本人は、真逆の国民性です。個人で突出した実力の持ち主は少なく、控えめで、謙虚な行動に特徴があります。ハリルホジッチは日本に来た当初フランスの雑誌のインタビューで、日本人は自分をまるで神様のように扱ってくれる旨の話をしていました。フランスは個人主義の国ですから、よく知らない人を神様扱いすることはないと思われます。ハリルホジッチのこの特徴は、チームが勝っている間は個性として良い方に捉えられ、本人も抑制していたように思います。しかし、負けが込んできたら、選手や国民性を批判する方向に出てきました。その結果、先ず選手が離反し、そしてサポートスタッフが離れ、最後にはサッカー協会の幹部の信頼も失って解任に至ったと思われます。日本的な三方一致の解任です。
ゴーンの場合、昨年兼任していた日産の社長職を西川氏に譲りましたが、これは、日産の業績が下がって来たためと、フランス政府が求める日産合併に舵を切るためであったと思われます。その結果、ゴーンの日産社内での影響力は相当落ちたと思われます。特に完成車検査を無資格者が行っていたという検査不正問題が明るみに出た際、ゴーンは全く表に出なかったことで、日産の日本人経営陣は、日産は自分たちが守らないという気持ちを強めたと思われます。ゴーンの言い分としては、社長は西川氏なのだから自分が表に出たら西川社長に失礼になるということですが、実際のところは、輸出車には求められない完成車検査制度の無意味さと、それが分かっていながら従う日本人を嘲笑してのことと思われます。
ゴーンにとって、王様でいられる日本は、居心地が良かったと思われますが、自分の考えを主張せず、無意味なことでもおとなしく従う日本人へは軽蔑も感じていたと思われます。
このようにゴーンとハリルホジッチの日本での転落は、もともと自己主張の強いフランス人がその自己主張を100%受け入れてくれる日本人の中で、自己主張や行動をエスカレートさせ、2人が属する日本人社会からはじき出されたというのが本質です。しかし、この2人の王様を作ったのは、日本社会であり、日本人です。この2つの事件は、日仏文化摩擦というより、日本人の国際化が待ったなしの状況に来ていることを示していると思われます。