高速バスのリクライニングシート見直すとき

報道によると、米デルタ航空は、新たに導入する航空機の一部で、座席のリクライニング角度を制限すると発表したそうです。デルタ航空のエアバスA320では、これまで約10センチ座席を倒すことができたものを、今後は約5センチとするそうです。これに対し、米国の旅行専門家の「素晴らしいアイデアだと思う」「航空各社は前後の座席の間隔をもっと広げるべきだ。そうでなければ、リクライニング自体をなくすべきだろう。機内で起きる言い争いのほとんどは、背もたれを倒す角度が原因になっているのだから」とのコメントが寄せられています。

これを読んで思ったことは、日本の高速バスもこれにならいリクライニングシートを見直して欲しいということです。私が利用する九州の高速バスでは、たまにフルリクライニングする客がいます。よく利用する福岡―熊本間では1回もありませんが、福岡―大分間の高速バスでは、私自身が経験しましたし、他の乗客が迷惑そうにしているのを何回か見かけました。福岡―大分間の高速バスには、別府温泉観光の乗客が多く、観光気分で後ろの乗客のことを考えなくなっているためと思われます。それも大体がアベック連れで、連れの女性にいい恰好を見せたい、または女性も何かあったら男性が守ってくれるという気があるためと思われます。福岡―熊本間の客は、仕事やショッピングの客がほとんどであり、市内バスと同じ感覚で利用しており、フルリクライニングする不届き者はいません。

フルリクライニングがなぜいけないかと言うと、「前は天国、後ろは地獄」の状態となるからです。倒す方は背中を伸ばせて天国ですが、その分後ろは倒れてきた席の背もたれに膝は当たるは、背もたれが目の直前まで来て圧迫されるは、背もたれと自席のひじ掛けで身動きできなくなるはで、拷問状態となります。これを経験している、または見かけている良識ある乗客は、まずフルリクライニングすることはありません。問題は、人のことを考えない、自分さえよければよいという乗客です。これが観光路線などにたまにいるのです。こんな乗客に出会ったら、乗車中ばかりでなく1日中不愉快です。

問題は、バス会社が高速バスでフルリクライニングシートを標準装備していることです。高速バスは全車フルリクライニング可能な席となっていると思います。出発の際「リクライニングを使用する際には後ろの席の方に声を掛けて下さい。」と社内放送することがありますが、そんなことを言っても意味がありません。システムとしてリクライニングシートがあるのだから、後ろの席の人の許可がないと倒せないわけではないし、声を掛けられた方もトラブルとなることを考えればダメとは言えません。こんなことは分かっているはずなのに、バス会社は一向に改善しようとしません。社長以下役員は、フルリクライニングした後ろの席に座った経験がないと思われます。一度経験してみて下さい。もう太めの方が多いでしょうから、辛さはひときわだと思います。このリクライニングシートが廃止にならないのは、昔バスの席に取り付けられていた灰皿と同じだと感じます。灰皿があるから車内でタバコを吸う人が出てきて、タバコを吸わない人には拷問状態となっていました。今では考えられないことです。あれが廃止されるまで長い時間がかかりました。リクライニングシートも高速バスでのトラブルの主因であり、後ろの席の人に地獄の苦しみを与えると分かっていながら、バス会社は改善しようとしません。バス会社、具体的には西鉄の英断を期待します。