通年採用、学生の厳しい選別が始まる
経団連と大学は、学生の就職活動・企業の採用活動をこれまでの一括ではなく、通年化することで合意したとの報道です。大学側の勉強が疎かになるのではないかとの危惧については、企業としてはむしろ勉強している学生を採用するようになるから、学生としては真剣に勉強に取り組むことになる、という認識になったようです。
学生が真剣に勉強に取り組まなければならなくなるのは事実だと思われます。これまでの4年次一括採用では、企業は採用予定人数の確保が優先で、学生を選別する時間がありませんでした。エントリーしてきた学生を先ず学校で絞込み、その中で片っ端から面接し、良さそうな学生に内定を出してきました。各社一斉の動きですから、早い者勝ちの競争でした。この選考では、学習の到達度や勉強ができるかどうかは大学名で審査し、個別の学生のそれは殆ど審査されてこなかったと思われます。これは、取引に当たって相手の信用状況などを厳しく審査するのが常識である企業活動からすると異常でした。今後は、通年採用で審査に時間をかけられることから、何段階も審査のフィルターに掛けるほか、学習到達度、勉強ができるかどうかをしっかり審査するようになると思われます。
そもそも大卒採用は、大学での勉強内容や勉強する力に基づき採用するものであり、これまではそれがすっかり抜け落ちていたのです。大卒採用は、就職するのは高卒では年齢的に早く、22歳程度が適切という考え方に基づいていたように思えます。これからは、大卒採用の本来の目的に基づき、大学で勉強している人、勉強のできる人を採用するようになると思われます。その為、各年次の成績は必ずチェックするようになるでしょうし、語学や会計、ITの資格なども勉強する意欲や能力を示すものとして重視されると思われます。また社会性を見るものとして、クラブ活動やサークル活動、社会支援活動、留学経験なども評価してくるはずです。取引や融資をする際の審査のやり方と同じであり、やっと企業本来の採用業務になると考えられます。
一方学生としては、大学に入って何をしたかが重要となります。これをしました、これをしています、これをライフワークとしたいと思います、というものがあり、そのために努力しているところを見せないと、評価されないと思われます。それがなければ、語学で資格を取っておく、簿記などの会計の資格を取っておく、情報処理技術者などIT関連の資格をとっておくなど、就職後使える資格を持っていることをアピールすることも手だと思われます。
この人は勉強ができる、勉強する能力がある、会社で使えるものを持っていると評価されれば、大学1年次でも内定がもらえるようになるし、評価されなければなかなか決まらないことになると思われます。通年採用では、学生がこれまでより厳しく選別されるようになるのは間違いありません。