「携帯キャリア営業利益率5%規制法」の制定が必要

菅官房長官が昨年8月「携帯料金は4割下げる余地がある」と発言し、携帯電話料金の値下げを求める声が強くなり、最近になって携帯キャリアが値下げプランを発表しています。しかし、発表された中身を見て見ると、4割値下げと言いながら家族3人以上の契約に限定し、値下げの効果を受ける人を少なくしていますし、乗り換え防止を強化する目的も持たせています。また今より容量の大きいプランの契約料金にお得感を出し、それに乗り換えを促し、契約者1人当たりの収入増加を図る目的が見え見えです。そして、携帯キャリアがお互いの得意とする領域の料金を下回る料金を設定しないなど3社の協調体制に配慮した料金プランとなっています。

菅官房長官の発言の主旨は、携帯料金の支出による家計負担を減らすことであり、「4割下げる余地」とは、家計支出を4割減らす余地があるということです。今の携帯キャリアの値下げプランのように「最大4割下げましたが、営業収入は減りません。それはユーザーが今より容量の大きいプランに移行したからです。」ということとは全く違います。菅官房長官の「4割値下げ」の主旨は、携帯キャリアの通信収入を4割減らして家計の支出を4割減らすことなのに、携帯キャリアの値下げプランは、通信収入の減少にはならないような料金値下げにすり替えています。

マスコミも新料金プランを旧料金プランと比較するばかりで、菅官房長官の発言の主旨を理解していません。

なぜ携帯料金を下げ、家計負担を4割下げないといけないのか?それは今の携帯キャリア3社の儲け過ぎ=家計収奪を認めれば、同じ公益企業である電力やガス、水道、鉄道、バスなどが一斉に携帯キャリア並みの利益率(営業利益率20%)を目指すからです。同じ公益企業でありながら、携帯電話は20%の営業利益率でよくて電力が5%に押さえられる理由はありません。ガスや水道、鉄道、バスなども同じです。これらは生活インフラ企業であり、国の免許の下独占か寡占の状態にあります。従って会社として営業利益率を20%に設定さえすれば分けなく達成できます。何故なら生活者はこれらの企業が提供するサービスは使わなければ生きていないからです。そうなれば家計負担は少なくとも今より10兆円以上増加します。多くの家計がやって行けなくなります。携帯キャリアの営業利益率20%はこう言うことを意味しているのです。

従って、携帯キャリアの営業利益率は絶対に電力企業並みの5%以下に下げさせる必要があります。「携帯電話会社は民間企業であり、その料金には口出しできない」と発言した総務大臣がいましたが、どうかしています。携帯キャリア3社は、国から電波を借りて営業しており、公益事業であることは明らかです。従って、電力やガスなどと同じように国の指導に従うのは当然です。法律がないというなら制定すればよいのです。憲法では公益のためにする経済活動の制限は認められています。

携帯キャリアの新料金プランを見ていると、公益企業という自覚がなく、公益企業のレベルまで利益水準を落とすという意図は見えません。たぶん自主的に落とすことはないと思います。ならば携帯キャリアの営業利益率を5%以内に規制する法律を制定すべきです。そうすれば4割=5兆円(携帯キャリアの営業収入約13兆円×0.4)の値下げが実現します。これで携帯キャリ3社は、営業収入8兆円、営業利益4,000億円、営業利益率5%と言った電力業界並みの公益企業になります。同時に電力など他の公益企業が携帯キャリアの20%の営業利益率を目指して値上げに走るのを防げます。

最近総務省は本気で携帯電話料金を値下げし、家計負担を減らす気はないのではないかと思ったりします。4割値下げというのは参議院選挙対策で、裏では携帯キャリア3社に対して「そんなに値下げしなくてよいから」と言っているような気がしています。やはり「携帯料金値下げ党」を作って、国会に乗り込むしかないかも知れません。