立候補は目をつぶって受理、開票後得票数0とする取扱いは改めるべき

何かと話題が多い「NHKから国民を守る党」が立候補の要件を満たしていないと知りながら立候補を受け付けると言う選挙管理委員会の対応を問題にして奮闘しています。

ことの発端は、この4月17日投票の統一地方選挙にありました。伊丹市議会議員選挙に立候補した同党の候補者は、立候補の受付を受理され選挙活動を行い、投開票日に開票結果を楽しみにしていたところ、選挙管理委員会から得票数0と発表されたのです。いくら関西では知名度が低いと言ってもNHK受信料に反発する人は少ないことから0は絶対に有得ないことでした。そこで選挙管理委員会に確認したところ、県内の同一自治体に3カ月以上居住していることが立候補の要件となっており、当該候補者の場合は、尼崎市に25日、宝塚市に2ヶ月27日居住しており、伊丹市に全く居住していないから、伊丹市議会議員選挙の被選挙権がなく得票数は0と決定したと言うのです。

選挙管理委員会としては、居住期間を把握し立候補受付の要件を欠くことを把握した時点で立候補失格とすべきであって、それを言わずに投票後得票数0と決定するのはおかしいという意見は当然出てきます。当該候補者は選挙に出る自治体がある県内の自治体に3カ月以上の居住実績があれば良く、同一自治体に3カ月以上の居住実績が必要ということは知らなかったようです。当該候補者の得票数は2,992票(得票率4.8%)であり、当選する得票数でした。当該候補者としては、立候補要件を誤解していた自分が悪いことは間違いありませんが、選挙管理委員会としてもその事実を知ったら立候補要件を満たさないことを伝えるべきであり、何故伝えてくれなかったのかと怒りたくもなります。これだけの大問題ですから、当然選挙管理委員会も総務省に確認をとったようで、公職選挙法では立候補要件は決められているが選挙委員会には実質審査権を与えておらず提出書類が完備しておれば受付を受理するしかなく、最高裁判決(1960年)でも「公職選挙法の規定によれば、選挙長は、立候補届出および推せん届出の受理に当つては、届出の文書につき形式的な審査をしなければならないが、候補者となる者が被選挙権を有するか否か等実質的な審査をする権限を有せず、被選挙権の有無は、開票に際し、開票会、選挙会において、立会人の意見を聴いて決定すべき事柄であると解するを相当とする」となっており、それに従って事務を行ったということです。

これによれば現状選挙管理委員会の事務には非はないことになります。しかし、この取り扱いの妥当性については大いに問題があります。やはり立候補に必要な実質的要件をクリアしている証拠となる書類を添付させ、それくらいは審査したうえで受理すべきです。そうでないと、立候補者が当選できないのは仕方ないとして、その候補者に投票した人の投票行為が無価値となってしまいます。今回の場合、投票者の4.8%だからまだよいですが、例えば51%以上得票した人が立候補要件を満たしておらず開票後得票数0と発表されたらどういうことになるでしょうか?この取り扱いについて大きな議論が巻き起こり、この取り扱いは法律改正などにより速やかに変更されることになったと思われます。

この主張に耳を貸さない選挙委員会および総務省に対して、「NHKから国民を守る党」はささやかな抵抗を続けています。4月22日投票の統一地方選挙で同じ兵庫県の播磨町議会選挙にホテルを現住所として立候補し、110票を得ています。この際は、住民票は公職選挙法に定める「届け出に必要な文書」に含まれていないとして提出しなかったようです。そして、開票後選挙立会人の協議で被選挙権がないとして得票数0と決定されました。

さらに同党は5月26日投票の東京都の足立区議会選挙では隣の墨田区居住の候補者を立候補させる予定でしたが、足立区は同区内に3カ月以上居住することを立候補要件としていることが判明したようです(立候補届時か?)。同党は東京23区の場合立候補要件は3カ月以上23区のいずれかに居住実績があればよいと思い込んでいたようです。実際足立区長選挙では、足立区に3カ月以上居住していることと言う立候補要件は付いておらず、付いているのは議員だけのようです。同党はこれを憲法違反と言っているようですが、いざ裁判となれば地方自治が優先される気がします。そこで同党は、選挙管理委員会は立候補の際に実質審査をしないという取扱いを利用して、足立区のホテルを現住所として予定通り隣の墨田区居住の立候補予定者を立候補させたのです。もちろん結果は、開票後被選挙権がないとして得票数0とされましたが、5,548票、当選者の第8位に相当する票を獲得したのです。これに対しては、投票者の投票行為を無にするものであるとする批判がありますが、当該立候補者は、自分は立候補要件を満たしていないから投票しても得票にカウントされないこと、それを知った上でこの取り扱いはおかしいと思う人は投票して欲しいこと、NHK受信料制度を改めたい人は是非投票して欲しいこと、を明確にして選挙活動を行っています。従って同党候補者への投票は、NHK受信料への抗議の意思表示であり、立候補要件を欠いていることを知らずに誤って投票した人はいないと思われます。

この選挙管理委員会の取扱いのように日本にはおかしいと分かっていながら改められない制度が多数あります。このような世の中のおかしいことを1つ1つ改めて行くには、「NHKから国民を守る党」のような党が必要です。直したいことがあれば、それを公約とする党を作り、その旗の下に結集するしかありません。そうすればいずれ今の自民党、野党体制も壊すことができます。当たり前のことが当たり前に行われる世の中をつくることが出来ます。