日本はもう韓国に抜かれている

日本と韓国は大きな問題を抱えていますが、経済などではライバルでもあります。すこし前までは、日本が経済で先行し、いち早くG7の地位を占めました。しかし、現在では、多くの面で韓国に抜かれてしまったように見えます。

国全体の経済規模で見ると、2018年のGDPは日本4.96兆ドルに対し、韓国1.62兆ドルと韓国は日本の32.6%ですが、人口が日本の40.6%に過ぎないため、1人当たりで比較すると日本の約80%に相当します。しかし韓国の経済成長率が2018年度2.7%に対して日本は0.6%であり、このままいけば1人当たりGDPではそう遠くない日に日本は韓国に追い抜かれることが予想されます。

国民1人当たり所得で見ると日本は約4万ドルで、韓国は2018年度に約3万1,000ドルを超えたということです。1世帯当たりで見ると、日本426万円、韓国357万円となっており、まだ日本が上回っています。しかし、GDPの伸び率は韓国が日本の4倍強あることから、これもGDPと同じペースで差が縮小するものと思われます。

福岡に住んでいると韓国からの旅行者を日常的に見掛けますが、身なりが立派(良いものを着ている)であり、日本人より裕福なように見えます。企業を見ても韓国最大企業のサムソンは売上高約24兆円で、営業利益5兆8,000億円です。日本最大企業であるトヨタの売上高が約30兆円、営業利益2兆4000億円ですから、サムソンの売上高はトヨタの約80%ですが、営業利益は2.4倍となります。ヒュンダイの工場労働者の平均賃金は年間1,000万円を超えていると言いますし、韓国は全国の最低賃金を昨年16.4%、今年10.9%引き上げ、1時間当たり1万20ウォン(日本円換算で984円)にしています(日本は全国平均が874円。一番高い東京都で985円。)1万ウォンは人間らしく生きる権利を象徴するもの」という文大統領の政策だそうです(イギリスも同じ考え方で25歳以上は1,198円以上と法律で定めています)。政権が交代するのならこれくらいのことがあってよいと思います。この結果韓国では失業率が上がっているとも言いますが、労働力が足りず海外から労働者を入れている状況ですから、直ぐに回復すると思われます。日本でも最低賃金を1,000円に引き上げる計画があるようですが、中小企業団体の抵抗が強いようです。しかし、このままでは生活水準で韓国と大差が付くと共に高付加価値産業への移行が進まないと思われるため、痛みを伴っても実施すべきではないでしょうか。

韓国の順調な所得の向上の原因は、厳しい競争政策にあると思います。受験競争の過酷さは知られていますし、就職の厳しさを同様です。当然企業内競争も激しいものと思われます。その結果個人の技能が高まっているのです。それは女子プロゴルフで韓国女子が世界を席巻していることでも分かります。サッカーでも優秀な選手を輩出しています。

韓国社会の抗議活動も社会をよくする原動力になっているように思います。前政権時代に汚職による退陣を求めるデモやセウォル号が沈没した際の政府対応を批判するデモなどを見ていると、社会の悪い箇所が改められるシステムになっています。

一方日本では、官庁などで悪いことが露見しても大規模なデモは殆ど見られません。「またか」「しょうがないな」「役所なんで所詮こんなもの」という諦めが支配しているように思います。これでは社会はよくなりません。

司法にしても韓国最高裁の徴用工判決が問題になっていますが、韓国が国家としては日本に対する賠償請求権を放棄していても、韓国政府が被害者の個人に補償をしていないことから、被害者を強制徴用した日本企業に対する民事上の請求権は存在するという韓国最高裁の判決は、司法の独立性を貫けば十分にありうる結論です。日本の場合、司法が政府の立場や現状変更となることを忖度しすぎ、司法の独立性に自らタガをはめているケースが大部分です。三権分立とは形ばかりで、実質的には司法は行政の一部になっています。その結果、不当な制度の見直しが進まないことになります。民主主義の面でも韓国がお手本になって来ています

このままいけば、個人所得で韓国が日本を抜く日はそう遠くないと思われます。そしてその差は拡大する一方でしょう。有名な投資家のビル・ロジャースが今後有望な投資先として韓国を挙げ、日本には投資する材料が何もないと言うのがよく分かります。

日本はおかしいところはどしどし改めていかないと、はっきりと追い抜いたことを自覚した韓国に哀れみから優しくされる時代が来ると思われます。