消費税引上げ後は複合不況、携帯料金5兆円の引下げが必要

今年10月からの消費税2%引上げにより消費が落ち込むのは確実ですが、7月4日に発表された半導体材料の韓国への輸出規制による報復の連鎖やアメリカと中国との貿易戦争の影響により、複合不況に突入しそうです。

これまでも消費税引き上げの度に消費は落ち込み、不況入りしていました。今回は金融緩和下で不況感はない中での消費税引上げであり、これまで程消費落ち込みの影響は大きくないのではとの予測もありました。しかし、どうやらこれまでの消費税引上げ後よりも消費の落ち込みは大きく、深刻な不況に突入する可能性が大きいと思われます。

というのは、7月4日に半導体材料の韓国への輸出制限を発動したからです。これで韓国の半導体や有機ディスプレイ産業が大きな影響を受けることが確実視されています。その結果、これらを供給する日本の企業のほか、韓国の企業から半導体や有機ディスプレイの供給を受けている日本の企業も少なからず影響を受けます。減産や製品価格の上昇が予想されます。その結果、これらの製品の売上が落ちることになります。この影響は日本だけに留まらず世界中に及びます。日本が発動した輸出規制が世界経済に変調をもたらす可能性が高くなったと考えられます。

また、今回の日本の輸出規制を見て、中国はアメリカとの貿易戦争を戦い続ける意思を固めると思われます。日本がトランプの真似をしたから、中国がトランプに屈服する訳にはいかなくなったからです。トランプ・安倍VS習・文の構図となってきました。この影響は相当大きいはずです。

今年の12月には韓国の徴用工への賠償金として差し押さえられた新日本製鐵の出資先株式が換金され賠償金に充てられることが予想されます。そうなると日本は報復として韓国へ金融制裁を実施すると考えられます。韓国への投資禁止、韓国企業への融資禁止などお金が韓国に流れないようにするはずです。外交的取り決めを破り、日本の企業に損害が及んだとなれば、韓国への投資はできないと考えるのが自然ですし、そんな韓国企業にお金を貸すこともありえません。これは韓国企業には相当影響が出るはずです。一方報復として韓国から同じ措置をされても日本および日本企業には殆ど影響ないと考えられます。本来徴用工賠償問題の報復としては、半導体材料の輸出制限より金融制裁が本筋であり、効果は長期的なのですが、これは賠償の実行まで取っておくようです。こうなると韓国もその他の報復措置を取ってくるでしょうから、日本にも何らかの影響は出てきます。一番影響が大きいのは韓国人観光客の減少ではないかと思います。2018年度の約750万人が半減するかも知れません。これらにより、日本の景気も悪影響を受けることは間違いありません。

それ以上にアメリカと中国の貿易戦争の悪影響が今年秋辺りから本格化すると考えられます。今でも中国への輸出が減少するなど影響が出ていますが、それでも今年秋頃には解決されるだろうという見通しがありました。しかし、これは長期戦になると考えた方がよさそうです。そうなるとアメリカ・中国とも景気が落ち込むと思われます。

それとアメリカのダウが27,000ドルを突破するなど暴落寸前に見られるような上がり方を見せているのも気になります。投資家が手仕舞い売買に入ったような感がります。米国株が下落すると、日本株はそれ以上下落することになり、これも景気を冷やします。

このように消費税引上げで消費が手控えられるところに、韓国、中国、アメリカの景気悪化も予想されるため、消費税引き上げ後の不況は複合不況となりそうです。これに東京オリンピック終了に伴う目標達成感が加わると、元内閣参与で京大教授の藤井聡氏が主張されている「リーマン危機数個分」とはいかなくとも、深刻な不況になってもおかしくないと考えられます。

これに対処するためにも、携帯料金は5兆円値下げする必要がります。これにより家計には5兆円の余裕が生じます。5兆円の所得税減税を行ったのと同じなのです。携帯キャリア3社はこれで営業利益5%水準になり、やっと電気などの公益企業と同じになります。総務省は値下げ目標額を5兆円と定め、そのための施策を打ち出す必要があります。