ホテル客室のテレビへの受信料は受信料の二重取り

産経新聞によると、ホテルの客室に設置されたテレビの受信料を支払っていないとして、NHKがビジネスホテルチェーン東横インとグループ会社に支払いを求めた訴訟で、7月24日最高裁第2小法廷は東横イン側の上告を退ける判決を下し、その結果東横イン側に計約19億3,500万円の支払いを命じた2審判決が確定したということです。

訴訟では、全国230カ所余りのホテルに設置されたテレビについて、平成24年1月~26年1月に未払いとなっていた約3万4,000台分の受信料が争われ、東横イン側は「NHKとの間に一部は支払いを免除するとの合意があった」として、一部の支払い免除を主張しましたが、1審東京地裁判決は「放送法は合意による免除を許可していない」と退け、2審東京高裁は1審判決を支持したため、東横イン側が上告していたものです。

この裁判では、NHKと東横インの間で受信契約は締結されており、争点は東横イン側が主張した一部免除の合意の有効性でした。最高裁は、一部免除は放送法上許されていないからあり得ないとして却下した訳です。この結果、東横インは未払いの約19億3,500万円を支払うことになります。

この判決自体は妥当だと思われます。東横インは受信契約を結び、受信料の支払い義務を受け入れており、争ったのは一部免除の有効性のみだからです。放送法上一部免除は認められないという最高裁の判断も問題ないと思われます。ただし、NHKの契約担当者が一部免除があると嘘を言って受信契約を獲得したことは十分あり得ます。

東横インは、今後ホテルの全客室分のテレビにつき受信料を払うことになり、その金額は年間10億円を超えることになります。これだけの金額だと東横インは当然宿泊者に転嫁することになるわけで、一泊100円程度を宿泊費に潜り込ませることになると思われます。そうなると受信料の真の負担者は宿泊客となります。東横インの宿泊者の殆どは日本人であり、建前上家庭で受信契約を結び、受信料を払っていることになります。その結果、宿泊者は家庭で受信料を払い、ホテルでも一部払うことになります。即ち、NHKがホテルの客室のテレビからも受信料を徴収することは、既に家庭のテレビについて受信契約を結び受信料を払っている人から二重に受信料を取ることになるのです。

従って、東横インがホテルの客室のテレビから受信料は徴収することは、受信料の二重取りであり許されない、即ちホテルの部屋のテレビは受信契約の対象ではないとして訴えていれば、結論は違ったことになったかも知れません。

しかし、日本の最高裁は、行政機関の下に位置し、現状の追認機関と化しているので、なんやかんや理屈を付けで、NHKのやることは正しいという結論に持って行く可能性が大きいと思います。最高裁に憲法の番人を期待することは無理があります。我々としては、次の総選挙の際同時に行われる最高裁判所裁判官審査で×点を付けて不信任とするしかありません。皆さん、忘れないようにしましょう。

尚、この判決を読んで受信料の二重取りに気付いたとき、我ながら冴えていると思ったのですが、ネットを見たらN国党の立花代表がマメバTVで同じことを述べたようです。またネット上にも同じ意見が溢れていました。どうも常識のようです。