日本を変えられるのはN国党のような一揆党
7月21日投開票の参議院議員選挙でNHKから国民を守る党(N国党)が比例で約99万票を獲得し、1議席を獲得しました。新聞などではこの比例の99万票を以てN国党の得票としていますが、37選挙区に候補者を立て約152万票を獲得していますので、この約152万票を以てN国党の得票と見るべきです。
比例では、通常選挙区で投票した候補が属する政党に投票するものですが、N国党は選挙区で約152万票得票しながら比例では約99万票と約50万票減らしています。これは、選挙区にれいわ新選組の候補がいなかったためN国党に投票した人が、比例ではれいわ新選組に投票したためと考えられます。N国党もれいわ新選組に食われていたのです。そのため、比例での得票率は1.97%に留まり、政党要を満たせないという予想外の事態となりました。しかし、これも予想外に選挙区で3.02%の得票率となり、念願の政党要件を満たしました。
多くのマスコミや識者と言われる人たちは、N国党が議席を獲得することを予想していなかったようです。しかし昨年来の地方議会議員選挙におけるN国党の議席獲得状況を見ていれば、議席の獲得は確実な状況でした。マスコミおよび識者と言われる人たちは全く勉強不足でした。
さて、このN国党に対しては様々な的外れの批判が見られます。「おもしろければ何でもいい人が投票した」「ネトウヨが投票した」もので、一過性の現象であり次回の選挙では消えてなくなるだろうと言っている人もいます。しかし、ちゃんとした知識人には、これはNHK制度、受信料制度に対する批判が顕在化したもので、N国党がその受け皿になっていると本質を突く意見が多数見られます。そうです。N国党が議席を得たのは、受信料制度に対する不満が顕在化したものです。数年前から受け皿さえあればこれくらいの票は獲得できる状態にありました。それが議席の獲得という形で目に見えるようになったのは、昨年初め辺りから地方都市の議会議員選挙で議席を獲得するようになってからだと思います。そして今年4月の地方選挙で26人の当選者を出し、国政選挙でも当選者を出せる可能性が出てきました。それでも受信料不払者が30%を超える東京23区で2%台の得票率であり、受信料不払率の低い地方ではもっと低い得票率になると予想されることから、比例で1名の当選者を出せるか微妙な状況でした。それが参議院議員選挙の選挙区で予想外のことが起きたのです。なんと候補を立てた37選挙区の得票が152万票、得票率が3.02%と東京での得票率を上回ったのです。これは、東京や大阪など受信料の不払率が高い地域の不払者の多くは何の罪悪感もなく、N国党の必要性を感じないのに対し、地方では受信料は払うのが当たり前となっており、受信料を払っていない人は白い目で見られ、何かと生活しにくくなっており、N国党が必要にされているのです。この結果、N国党は地方で強い自民党議員にとり恐怖となることが分かりました。地方の1人区に候補者を立てると5~10%得票し、当選はできなくても、自民党候補を落選させることはできます。従って、次回の総選挙に当たっては、N国党の唱えるNHK受信料改革に反対する自民党候補の選挙区には、刺客としてN国党の候補を立てる作戦が考えられます。その自民党候補が娘や息子などをNHKに就職させていれば好都合です。癒着が疑われるので落選間違いなしです。
N国党に一度投票した人は、受信料制度が変わらない限り次回の選挙でも必ずN国党に投票します。従って、N国党は次の総選挙でも得票率が上がることは確実です。受信料不払率は約19%であり、約830万世帯ありますので、有権者数では約1,250万人(1世帯1.5人の有権者を想定)となります。少なくともこの人たちはN国党に投票すると考えられます。これ以外に受信料は払っているけど不満に思っている人たちも同数以上いると思われますので、潜在的支持者は約3,000万人と想定出来ます。このようにN国党は大きな得票可能性を秘めているのです。
N国党に対しては、受信料問題以外政策がなく政党とは言えないという批判がありますが、的外れです。N国党は受信料問題に不満を持つ人たちがこの問題の解決のために集まった言わば一揆集団、即ち一揆党なのであり、政権奪取を目出す一般の政党とは異なります。立花代表も述べているように受信料問題が解決されれば解党される運命にあります。たぶん続けようとしても投票する動機がなく、1議席も獲得できないはずです。
歴史上一揆はたくさんあっており、成功したら解散しています。一揆の場合、1つの問題を解決するために考え方の違う様々な人たちが結集しており、一機には絶対的リーダーという人は存在しません。従って、リーダーが一揆の目的以外のことを主張し始めると分裂する可能性が大きくなります。7月30日、渡辺喜美議員と参議院で共同会派を組む記者会見において立花代表は、訴える政策(アジェンダ)を増やすべきか悩んでいると言っていました。たぶん、選挙区で152万票得票したにも係わらず比例区で99万票と50万票減少し、その大部分がれいわ新選組に流れたと思われることから、その原因はれいわ新選組にくらべ政策数が少なかったからではないかと考えているのではないかと思います。即ち、たくさんの政策を掲げれば受信料以外の政策に賛同する人が投票して、その分得票数が増えるのではないか、と考えているような気がします。しかし、それは間違いです。N国党に投票した人は、N国党が受信料問題1つにターゲットを絞っているから投票したのです。N国党への投票者は、自民党支持者、野党支持者、支持政党無しがそれぞれ3分の1となっています。N国党に投票した人は、受信料以外の政策については、それぞれ支持政党がある人が多いのです。逆にN国党が受信料以外の政策を掲げ、他の政党と同じとなれば、もうN国党には投票しないはずです。立花代表には、これまでの方針を変えず頑張って欲しいと思います。
N国党の成功は、今後の日本における世直しのモデルとなります。自民党や公明党、立憲民主党などの既存の政党に投票しても変えられなかったものが、一揆党の元に結集すれば変えられることが分かります。N国党が目的を成就すれば、次の一揆党が生まれるはずです。こうして日本を1つずつ良くして行けることになります。立花代表はN国党が無くなっても次の一揆党の党首の道があります。いうなれば世直しおじさんの道です。今後マスコミは、N国党のような党をワンイシューの党という蔑視的な表現ではなく、一揆党と表現して欲しいと思います。