最低賃金の高いエリアへ移住すべき

2019年10月実施の最低賃金が出揃ったようです。それによると加重平均は前年の874円から3.1%増加して901円となっています。都道府県別に見ると東京都が1,013円、神奈川県が1,011円と初めて1,000円を突破しました(前年985円と983円)。大阪は964円となっています。

この中で注目は最低額の790円となっている15県です。列記すると青森、岩手、秋田、山形、鳥取、島根、高知、愛媛、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄です。地域別に見ると東北4、山陰2、四国2、九州6、沖縄1です。これから分かることは、首都圏、中京圏、関西圏から遠いところが多いということです。北海道は大規模農家が多いためか首都圏からは遠いにもかかわらず最低額とはなっていません(826円)。最低賃金で計算した年収で見ると最低額の県は165万円、最高額の東京は211万円となり、46万円の差となります。物価水準と生活コストが違うので、一概に年収が低いから生活が苦しいということにはならないと思われます。むしろ物価が安く生活しやすいと感じている人もいると思います。しかし年収が低いと子供の進学の障害となるのは確実です。やはり子供のいる家計は、年収の高いエリアが望ましいと思われます。

そう考えると、最低額近辺で働いている15県の若者は、最低賃金の高いエリア、特に首都圏、近畿圏、中京圏に移住することを真剣に検討した方がよいと思われます。

今後日本は人口減少が急激に進むことが予想されていますが、その結果企業も国も人口が集中するこの3つのエリアに投資を集中して行きます。この3つのエリアに投資を集中することは、これまでに築き上げてきた鉄道や高速道路、下水道などのインフラを活かす意味でも有益です。東京23区から地方に移住する人に奨励金を付けたり、地方では期限を切って生活費を補助したりして都会から地方への移住を促進する政策も見られますが、長期的な生活基盤の問題が解決されておらず、ちょっと無責任な政策のように感じます。今後の日本の人口動向を考えれば、若者を最低賃金が最低額の九州や四国、東北に移住させるという判断は出てきません。むしろ最低賃金が高い都市に集中して住ませることが重要です。地方への移住は、貯蓄が十分あり定年退職後の余生を田舎で暮らしたい人を中心とするべきだと思います。そういう政策が合理的です。