永守賞でモーター技術者を独り占め

日本電産の永守重信会長が理事長を務める公益財団法人永守財団は9月8日、優れたモーター技術を表彰する「第5回永守賞」の大賞に日産総合研究所EVシステム研究所の加藤崇主任研究員を選んだと発表しました。永久磁石を活用した高効率な車両駆動モーターの研究を評価したということです。

永守賞は、モーターの制御や応用技術などで優れた功績を挙げた若手・中堅研究者や技術者を奨励する狙いで2015年から始まりました。今年の受賞者のうち加藤氏以外の5名は海外の研究者です。第3回では日立製作所の技術者が大賞を受賞しました。日本電産の競争相手の会社の技術者が受賞したことについて、永守社長は「この賞は会社は関係ない。」と述べていましたので、今年もそれが証明された形です。

これで思うのは、この賞を続ければ将来この賞を受賞した技術者がこの賞が縁で日本電産または永守社長が理事長に就任した京都先端科学大学に集まることになるのではないかということです。日立や日産ではモーター研究は傍流であり、日本電産は専業ですから、日本電産やモーター研究で世界一の大学を目指す京都先端科学大学は魅力的な職場となります。さらに海外の研究者の受賞者を増やしていますから、この中から京都先端科学大学の教員に就任する者が現れ、京都先端科学大学がモーター研究で世界一の大学になるのに貢献すると思われます。その結果永守賞は、日本電産が世界一のモーター企業になることに大きく貢献することになります。

京都には京セラの創業者である稲盛和夫氏が設けた京都賞があり、こちらは基礎的な科学や文明・文化の発展に貢献した人を表彰する権威ある賞になって来ています。永守賞は京都賞とは違い、特定分野の産業に貢献する賞として京都を代表する賞になるのではないかと思われます。いずれも京都ブランドを引き上げるものです。