学校での暴力、刑事事件として扱うべき

神戸市の小学校で教員が教員を虐めるという事件が明るみに出ました。男子教員3名と女子教員1名が1名の若手男子教員を虐めていたということです。いじめの内容は、男子教員を羽交い絞めにして激辛カレーを無理やり食べさせたり目に擦り付けた、男子教員の新車の屋根にわざと上り傷つけた、車のシートにわざと飲み物をこぼし汚した、コピー用紙を丸めた芯で尻を腫れるほど殴った、などが揚げられています。まるで中学校や高校でいじめっ子がいじめられっ子を虐めるような内容です。

これが中学生や高校生のいじめだと大怪我を負わせていないだけ、いじめとしてはまだ良い方だと思います。しかし大人の社会でのこととなると、これらの行為は刑法上の暴行に該当すると思われます。加害者は当然教師失格です。しかし公務員規定にこのような際の処罰規定がないということで、虐めた4人は有給休暇を取らせて自宅待機となっているそうです。これも常識に反する扱いです。公務員に不祥事があるといつも思うのですが、訓告とか戒告とか減給何カ月とかの処分があっても、昇進には全く影響しない例が見られます。確か森友事件で処分を受けた官僚はほどなく昇進して幹部になっています。このように公務員の処分は世間向けのセレモニーで実効性がないものになっています。言い渡す方が「運が悪かったね。世間向けに一応処分を言い渡すから。でもその後の昇進には影響しないからね。」と言っているような処分です。これでは再発防止効果もなく、不祥事はなくなりません。先ずは公務員の処罰規定を見直し、民間なみの実効性を伴う処罰規定に改定すべきです。神戸の事例など民間なら解雇、または実質的に辞めざるを得ない処分が下されます。公務員の場合、みんなで厳しい処分を避けようとしている感じがします。

同じ時期、鹿児島の出水中央高校サッカー部の監督が部員の生徒を足蹴りにし、更に生徒が倒れるくらいに激しく平手打ちする動画がユーチューブで流され、問題となりました。神戸の教員の教員に対する暴行事件といい、鹿児島の教員の生徒に対する暴行事件といい、学校以外の出来事なら、暴行者は警察により逮捕される事件です。それが学校での出来事として、先ずは学校内の処理に委ねられ、刑事事件化されません。刑法は事件が起きた場所が学校か否かで運用が変わることはないはずで、刑法の構成要件に該当すれば等しく適用されます。この2つの事件には、動画の証拠があることから暴行の事実は明確であり、刑事事件として取り扱うべき事件です。事件が起きた場所が学校であるとして特別扱いすることで、学校での教師の生徒に対する暴力事件が後を絶たなくしていますし、逆に神戸のような教師が教師に暴行するという事件を引き起こしています。起きた場所が学校内で教育的配慮が必要というのは、起訴の判断や裁判の中で考慮されることです。学校での暴力にも一般社会の規範を適用すべきです。