金品授受は大阪の文化、関電役員は運が悪かっただけ?

関西電力(関電)の役職員が原発が立地する福井県高浜町の元助役から金品約3億2,000万円を受領していた問題で、10月9日八木会長、岩根社長および4名の役員が辞任を表明しました。当然の結果であり、初めての会見の際に辞任しなかったのが不思議なくらいです。

この金品受領額は2010年以降と言われていることから、第三者委員会で調べが進むともっと広範囲の役職員が、もっと多額の金品を受領していた事実が明らかになるのは確実のように思えます。

これは他の9つの電力会社がこのようなケースは無かったと報告していることと対照をなします。他の9つの電力会社が全くなかったかについては疑問がありますが、あったとしても少数であり、少額に留まると予想されます。それは、他の地域では金品を受領することは便宜を与えることとセットと考えられており、もし貰ったら便宜を与える約束をしたことになるという共通認識があるからです。

逆に言うと大阪では、呉れる物は貰う、何も貰わなかったら何もしない、というのが文化であるように思います。私が約30年前に東京の会社から大阪の会社の新設会社に出向し、そこの社長と挨拶回りに回った際に、大阪の親会社から来ている社長は5万円のランバンの名刺入れを準備し、「彼は役に立つ人や。1個あげとこう、あいつは役に立たへんからあげんでもいいわ」と今後商売に役に立つ人と立たない人を峻別し、ランバンの名刺入れを配るのに驚いたものです。さらに驚いたのは、市役所の関連部署に挨拶に出向いた際に、贈収賄になるから市役所の職員には渡さない方が良いと言う私の言葉には耳を貸さず、社長は担当課長にランバンの名刺入れを渡しましたが、受け取った課長は満面の笑みで、「もう1個ありませんか?担当者にも渡しといた方が宜しい。」と担当者の分も要求したのです。これには本当に驚きました。大阪で金品をあげること、貰うことは日常の儀礼行為であり、それは民間人でも公務員でも関係ないということと知りました。

この経験からすると、関電の役職員が金品を受領するのは当たり前のことであり、積極的に辞退する気持ちはなかったものと考えられます。そして贈った元助役はこういう大阪の文化を良く知った上で行ったものと考えられます。即ち、関電役職員の金品授受は、大阪では当たり前の行為であり、今回バレたのは運が悪かった、と考えるのが多くの大阪人の本音ではないでしょうか?こんなことで役員を辞めないといけないのであれば、大阪の会社から役員がいなくなってしまいます。