選手がギャラリーを批判する女子プロゴルフは凋落する

今年8月渋野日向子プロの全英オープン優勝で一時盛り上がった女子プロゴルフの人気は、今のままでは間違いなく凋落します。

それは、選手がギャラリーの大切さを分かっていないからです。笠りつ子プロがゴルフ場の副支配人と口論して「頭が固い、死ね!」と発言して問題になりましたが、これはまだ業界の内部問題とも言えます。これより問題なのは、選手がギャラリーを批判していることです。例えば11月15日伊藤園レディースラウンド後の鈴木愛プロの発言です。ゴルフダイジェストオンラインにある鈴木愛プロの発言をそのまま引用します。

「選手同士はいつも通りでしたけど、ギャラリーがちょっと気になりました。写真を撮ったりとか、動いたりとか、結構多かったです。応援してくれるのはありがたいですけど、あんまりマナーは良くなかったので、嫌かなというときはありました」

「集中が途切れることはなかったです。『別にいいや』って打ちましたけど、ジエさんのときも撮っていたりして『ちょっとよろしくないな』って気になるときはありました」

こうような鈴木愛プロの発言が引用され、ギャラリーに苦言を呈したと書かれています。この日は鈴木愛プロ、シン・ジエプロ、渋野プロという賞金女王を争う組でラウンドしていました。この組には人気の渋野プロ目当てに多くのギャラリーが付いていたようです。渋野プロの全英オープン優勝以来にわかギャラリーが急増しており、その中にマナーの悪いファンが一部出てきているのは予想できます。賞金女王を狙っている鈴木愛プロにはそんなファンの行動が気になって仕方なかったのだと思います。鈴木愛プロの上記発言は自身とシン・ジエプロが打とうとしたときギャラリーが写真を撮ったり、動いたりしたことを批判したものですが、何故か渋野プロについては触れられていません。写真を撮るギャラリーは渋野プロのときが一番多かったはずです。ここから深読みすると、「渋野のせいでマナーの悪いギャラリーが増えて困っている。渋野は自業自得だけれど私らは迷惑している。」という意味にも取れます。こんな中で渋野選手としてはやりずらかったと思います(決勝ラウンドに進めず)。しかし、女子プロゴルファーが試合に出場して賞金を貰い生活して行けるのは、ギャラリーやスポンサーあってのことです。従って、ギャラリーやスポンサーを批判することは絶対にあってはならないことです。それも記者の前で批判すれば、記事になり全国に向けて発信されます。その結果、心当たりのある多くのギャラリーが私のことを批判していると思います。そして、そんなことを記者に言わなくてもいいではないか、と鈴木愛プロを、ひいては女子プロゴルフを嫌いになります。

ワールドカップラグビーの試合や井上尚弥VSノニト・ドネアの試合など世界レベルの試合が日本で見られる中で、日本の女子プロゴルフの試合はそれほどのレベルにはありません。ゴルフ人口も減り続けており、女子プロゴルフが多数の試合を開催できるのは奇跡と言っても良いと思います。環境的には女子プロゴルフはいつ試合数が激減してもおかしくない状況です。そんな中でギャラリーを批判するのは、自殺行為です。そんなにギャラリーが嫌いなら、ギャラリーを入れずに試合をすればよいのです。わざわざお金を払って遠くから見に来てくれる奇特な人がいて賞金大会が成り立つのですから、ギャラリーには感謝はしても決して批判してはいけないのです。鈴木愛プロは女子プログルファーになって稼ぐために小さいときから厳しい練習をしてきたようですから、試合になれば優勝することに頭が一杯で、正直ギャラリーは邪魔な存在なのだと思います。こういう内面の思いは外面に出ますから、たぶん鈴木愛プロは頭にくる行為をしたギャラリーを睨んだり、不快な思いが態度に出たと思われます。それはギャラリーにも伝わります。それを感じたギャラリーは当事者ではなくとも嫌な気持ちになり、試合を見に来なくなります。女子プロゴルフなどなくても世の中困りませんから、いつでもギャラリーは辞められます。それで困るのは女子プロゴルフ界と選手です、

男子プロゴルフがこのことに気付かずギャラリーをなくし、スポンサーを失くし、試合数を大幅に減らしています。女子プロゴルフもこのまま行けば、男子プロゴルフと同じ運命になります。女子プロゴルフはもう一度真剣にギャラリーとの関係を考えて見る必要があります。笠りつ子プロの罵詈雑言だけ取り上げられていますが、鈴木愛プロのようなギャラリー批判の方が女子プロゴルフを凋落させます。

(畑岡奈紗プロも日本女子プロ選手権のときだったと思いますが、ギャラリーを批判する発言をしていました。優勝を狙う選手にとっては、ギャラリーは邪魔な存在のようです。その点ギャラリーと一体になって試合を盛り上げる渋野選手は貴重な存在です。)

追伸;11月17日伊藤園レディス最終日に鈴木愛プロが逆転で優勝しました。3週連続優勝で、これは12年ぶり2人目の快挙だそうです。これで賞金首位に躍り出ました。おめでとうございます。