安倍政権の命運は高市総務大臣が握っている

12月20日、鈴木茂樹総務次官がかんぽ生命が不適切販売問題を起こした日本郵政グループに対する総務省内の行政処分の検討状況を元総務事務次官である日本郵政の鈴木副社長に漏洩したとして更迭されました。総務省の現役官僚と天下り官僚が密接に情報交換していることは、周知の事実でした。総務省は地方自治体に多数の現役官僚を出向させ、本庁と意思疎通を密にしているのですから、今回更迭された次官と元事務次官にとってはその一環と言う認識だったと思われます。従って、更迭された事務次官にとっては「何故自分だけ?」という認識でしょうし、元事務次官にとっては自分の役割として当然のことをしただけという認識でしょう。

今回の処分は、高市総務大臣の危機感の表れと思われます。それは総務省が安倍政権の今後の命運を握っているのも関わらず、課題は一向に進捗しないからです。安倍政権の今後の最大の課題は、10月の消費税2%引き上げによる消費落ち込みの回復です。10月の世帯当たり消費支出は前年同期比-5.1%となっており、これは2014年4月の消費税3%引上げ時の-4.6%より大きくなっています。キャッシュレス決済によるポイント還元策を実施してこれですから、これが廃止となる来年7月以降は東京オリンピック終了も重なって深刻な落ち込みになることが予想されます。これを防ぐためには、家計から約13兆円を吸い上げ、営業利益率約20%というおおよそ公益企業からかけ離れた家計収奪を続ける携帯3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)の携帯料金収入を約5兆円引き下げるしかありません。これで携帯3社の業績は、電力9社並み(営業利益率約5%)となります。そして家計が支出を免れる5兆円という金額は、2%の消費税収入に相当する金額であり、家計における消費税引上げの影響を相殺できると考えられます。消費税引き上げによる消費落ち込みを回復させる方法はこれしかありません。

実はこれだけでは来年の消費落ち込みは回復しないのです。それは来年医療費引上げなどで家計の負担が増加するからです。医療費だけでも約8,000億円増加するとの報道もありますので、これに相当する家計負担を減らしてやる必要があります。その候補がNHK受信料です。今年の6月の参議院議員選挙で「NHKから国民を守る党」(N国党)が選挙区で3.2%を獲得し国政政党になったことで分かるように、NHK受信料に対する家計の反発は高まっています。それは、見ないにも関わらず払わされることという不条理さと同時に、家計がNHK受信料を負担できなくなって来ているからです。NHKの放送のうち公共放送と言える内容は全放送の10%もなく、その他は民間放送と変わらない内容です。即ちNHKは、公共放送と称して民間放送の運営費を徴収しているのです。これで約7,200億円も家計から吸い上げていますから、その分家計は苦しくなっています。これをN国党が唱えるようにスクランブル化すれば、遣り繰りが苦しい家計は契約せず、救われます。こうでもしないと、家計は医療費などの負担増に耐えられなくなっています。

それに次官更迭の直接の原因になったかんぽ生命の不正契約問題です。これは国の信用を利用した犯罪行為であり、収入の少ない老人から多額の金品を巻き上げ、苦しめています。

このように総務省所管の携帯3社、NHK、郵政が家計を苦しめているのです。そしてこれを止めさせない限り、来年以降の深刻な消費落ち込みは防げません。その結果、安倍政権は退陣を余儀なくされます。そして「悪夢の民主党政権」から「悪夢の安倍政権」と言われるなり、次の総選挙では野党政権が誕生することとなります。

これを防ぐ唯一の方法は、総務省所管の携帯料金引き下げ、NHK受信料引き下げ、郵政改革の3つを実現することです。安倍政権の命運は高市総務大臣が握っていることになります。