首相には早慶以上の学力が必要では?

安倍政権の末路が怪しくなっています。国会やマスコミで追及されている桜を見る会については私も、最近出席者に若手芸能人が多くなり、どういう趣旨なんだろうと感じていました。以前は芸能人が参加していても芸歴が長い一流の人が多く、長年の功績に報いるために招待されたのだろうという印象でした。しかし、最近は芸歴の短い若手人気芸能人が多数招待され、首相と並んでピースサインをして写った写真をブログなどで公開しているのを見ると、安倍首相の若者へのアピール政策のような感じがしていました。秋の通常国会は桜を見る会の追求だけで終わった感じで、まるで国会がお昼のワイドショーになったようでした。

思い返すと、安倍首相関係のこれまでの話題と言えば、森友事件の籠池氏と安倍首相の関係や安倍首相夫人と籠池夫婦の関係など、何かとワイドショーのネタになるものが多いような気がします。それは安倍首相の意識が庶民に近く、交友関係が庶民に広がっているからと思われます。これはかっての中曽根首相、福田首相、宮沢首相などとは明らかに違う特徴です。中曽根首相らの交遊関係は、日本のトップ知識人や財界人であり、先ず庶民と直接交遊することは無く、庶民はなかなか近づけなかったと思われます。その点で安倍首相は明らかに違います。これは安倍首相が選挙に勝ち続けて首相を3期務めてきた要因でもあります。これができるのは、安倍首相が日本人の平均的な知的レベルに属する首相だからです。

これは民主主義の選挙では圧倒的な強みとなります。有権者は誰でも自分と意識や考え方が近い人や党に投票します。それがこれまで安倍首相や自民党だったのです。その結果、桜を見る会という税金を使って開催される公的行事が、首相や自民党のための選挙活動のように利用されるようになりました。このことは一般庶民にとっては、「どこがわるにの」「いろんな所で行われているじゃない」ということになります。このように首相の意識と庶民の意識が一体化しているのです。その結果公私の区別がなくなっているのです。

このような安倍政治の下で、森友事件では官僚の公文書偽造という犯罪行為が官邸の介入によりもみ消されました。その前には甘利議員や秘書の斡旋収賄容疑ももみ消されました。これらから想像すると今は菅原衆議院議員や河合克之・案里衆議院議員の公職選挙法違反容疑のもみ消し工作が行われていると思われます。これも庶民レベルならではの出来事です。

直近には現役の総務事務次官が元総務事務次官の日本郵政副社長に総務省内での幹部協議の内容を漏洩するという事件が起きましたが、この背景には官僚が現役時代に従事した業務と関係が深い業界や企業に天下ることを安倍首相が積極的に容認していることがあります。庶民の感覚に近い安倍首相の考えでは、そうでないと双方にとって天下りのメリットがないという考えだと思います。このように安倍首相により引き下げられたモラルが日本の政治や行政のレベルの低下を招いています。

今後安倍首相が行った消費税2%引上げの結果、消費不振が顕在化してきます。既に10月の家計支出は前年同期比-5.1%となっています。ポイント還元制度がなくなる来年7月以降、東京オリンピックの終了も重なり深刻な消費不振になることが予想されます。

これまでに安倍首相がやったことと言えば、就任当初に行った金融大緩和だけです。それまで金融界の知識人たちが豊富な金融知識や経験に縛られてできなかったことを、それらが乏しい安倍首相だったからできたことです。しかし、その効果も賞味期限切れとなっており、最近業績不振企業が増加し、それに伴い銀行の収益が悪化しています。次の日本経済の危機は銀行が震源になる可能性が大きいと思われます。そしてそのしわ寄せは家計に及びます。

安倍首相の知的水準では、将来を見据えた政策を打つことは不可能だったと思います。将来を見据えられるのは、ある知的水準以上の人たちです。自分にそれが無ければ副総理や官房長官に知的水準の高い人を配するものですが、安倍首相は自分と同水準の人で固めました。そして安倍政権の閣僚も自分と知的水準が近い人物で固めているように見受けられます。その結果安倍政権は歴史上一番庶民に近い政権になったと思われます。国が長く豊かであるためにはやはり一国の首相には早慶以上の知的水準が望ましいと思います。