ゴーンが日産に与えた損害約5億円?350億円だったのでは?
日産は1月16日、有価証券報告書虚偽記載、特別背任などの罪で起訴され、保釈中にレバノンに逃亡した前会長カルロス・ゴーン(以下ゴーン)は、日産の資金390万ユーロ(約4億7,800万円)を私的に流用していたとする報告書を東京証券取引所に提出したということです。内容は、ベルサイユ宮殿で過去に開かれたパーティーの費用、リオのカーニバルやカンヌ映画祭へのゲスト招待、カルティエでの贈答品購入などとなっています。これらはオランダの統括会社から支出されたもので、日産とルノーの調査から判明したとしています。
一方日産は、2019年9月9日の取締役会でゴーンが日産に与えた損害は約350億円と認定しています。ならば東証に報告するのはこの金額になるのではないでしょうか?
取締役会が認定したゴーンの不正行為は、
・取締役報酬開示義務違反
・役員退職慰労金打切り支給として支給される可能性のある金額の不正操作
・会社資産の私的流用等
・販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為
となっており、今回東証に報告したのは3番目の項目だけかも知れません。これだけしか報告しなかったということは、約350億円の損害認定が怪しくなってきます。最初の取締役報酬開示義務違反は、約92億円の追加支払い約束があったという報酬のことだと思いますが、これは有価証券報告書に記載すべき報酬だったとしていますので、正当な報酬であり、損害にはならないはずです。それにこれは未だ払っていないのですから、損はしていないし、西川前社長は今後払うこともないと思うと述べていますので、むしろ得をしています。2番目の退職金については内容がよく分かりませんが、未だ払っておらず、これからも払わないでしょうから、損害とは言えません。4番目の中東の販売店を通じた資金還流については、ゴーンの性格が分かって来るとあったかも知れない感じになりますが、それは支出額(約32億円)の一部でしょう。全部だったとしても約32億円に過ぎません。こう考えると日産が昨年の9月9日の取締役会でゴーンが日産に与えた損害を約350億円と認定したことが如何に出鱈目かが分かります。もしこれだけの損害が発生するとすれば、これを見過ごした取締役と監査役も同時に責任を追及されるのが筋です。今回のゴーン事件を通して言えることは、日本人の取締役や監査役は1人も逮捕されず、また責任を追及されていないため、まるで外国人をターゲットにした迫害の様相を呈していることです。ここが外国人に日本の司法は信用できないという印象を生み、日本人にも明日は我が身という漠然とした恐怖を与える原因になっています。