東京のサラリーマンは地震を見据えた人生設計が必要

東京で今後30年以内に大地震が起きる可能性は約70%と言われています。東京が大きな被害を受けた地震を調べて見ると、直前が1923年の大正関東地震(死者約10.5万人)、その前が1855年の安政江戸地震(死者約1万人)、その前が1703年の元禄関東地震(死者約1万人)です。この間隔は68年、152年となっています。しかしその前を見ると1293年の永仁鎌倉地震(死者約2.3万人)であり、この間は410年あります。従って、過去の地震から明確な周期は導けません。こうなると今後30年間に大地震が起きる確率約70%と言う数字もにわかには信じられなくなります。

私は2011年3月11日の東日本大震災のときには東京に居ました。東京ではその前から震度3,4程度の地震が頻発していました。そのため、東日本大震災のときも最初は「またか」と言う感じでした。当時私は品川区のマンション1階に住んでいました。その後ズドンと地下室から重機で突き上げられるような衝撃があり、「あれ、これはこれまでと違うぞ」と思いました。それから激しい横揺れがあり、ただ事ではないと確信しました。私の住んでいたマンションは築20年くらいでしたが割と丈夫な構造になっていましたので、地震があっても倒壊することはないと思っていました。そのとおり倒壊の危険は感じませんでしたが、壁などがはげ落ちるかもという危険は感じました。そしてしばらく続いた激しい揺れの中で、「これは明日には関東大震災と言われる地震になるかも。」と思いました。その後暫くして揺れが収まり、一息つきました。地震の被害状況を見ようとテレビを付けたところ、東京はそれ程被害を受けた様子はありませんでしたが、震源に近い東北地方の被害が大きそうという報道があっていました。そして、その後田畑や街中を襲う津波の映像が映し出され、この世の終わりかと思ったことを覚えています。

それからは東北であれだけ大きな地震が起きたからには、東京も起きるはずと考えると、東京でこのまま生活することに不安を覚えました。先ずこのマンションが損壊したことを考えました。マンションの住人の年齢や収入はさまざまであり、マンションの再建は不可能に思えました。そうなると住む所がなくなります。その場合どうしょう?田舎の熊本に帰るかと考えました。テレビでは東大の地震学者が今後3年以内に東京で大地震が来る確率は70%と言っていました。私は当時早期退職していましたので、いつでも引っ越せる状態にありました。しかし、その当時は不動産バブル崩壊に伴う不況の最終局面にあり、マンションが売れる状況にはありませんでした。そのため実際に売却できたのは少し景気が良くなった3年後になりました。その際には、これでマンションリスクから逃げられたとほっとしました。

東京には私のように地方から出てきてマンションや一戸建を買ったけれど、まだローンが返済中だったり、返済していても再建資金はない人たちがたくさんいます。東京で大地震に見舞われれば、こういう人たちは住む家を失い、その後の生活再建に困難を来すと思われます。東京居住者の3割くらいがこれに該当するのではないでしょうか。それでも東京を離れられないのは、生活の糧を得る職場が東京にあるからです。東京大地震が来れば職場も無くなるし、住む所もなくなります。余り考えたくないですが、一度考えておく必要があると思います。私は50歳を超えて家を購入していない人は、その後家を購入すべきではないと思います。どうせ80歳を超えれば老人ホームに入ることになります。そうなると自宅は売却する必要がありますが、これがなかなか大変です。マンションならもう売れない可能性が高くなります。1戸建ても簡単には売れません。それに対して賃貸住宅は退去届けを出すだけですから楽です。問題は年を取ると孤独死などがあり、なかなか家や部屋を借りられないことです。URや県営住宅、市営住宅などは、政策的に老人でも貸してくれますので、早めに確保することが重要です。地震対策ではなくとも50歳時点で自宅を購入していない人はこういった公共的賃貸住宅がお薦めです。東京を脱出して当時地震が少ないと言われていた九州(最初熊本、1年後福岡)に引っ越したら、熊本大地震が起きたのだから人生分かりません。