黒川虎を野に放ってしまった安倍政権
安倍政権は、賭けマージャンで辞職した黒川前東京高検検事長を訓戒処分で済ませ、退職金を全額支払う模様です。これはそうせざるを得ないのです。それは黒川氏が安倍政権の命運を左右する情報を握っているからです。2012年に安倍第二次政権が成立して以来事務次官を退任し東京高検検事長になるまで6年間、安倍政権の法律顧問的な役割を果たしてきました。この間甘利明衆議院議員のあっせん利得罪や森友事件の佐川元財務局長の不起訴に貢献したのは間違いありません。それ以外に事件化する前にもみ消したケースも多数あると思われます。安倍政権は、問題情報は警察庁から警察庁OBである杉田官房副長官に入り、警察で処理すべきものは逆のルートで指示が飛び、検察まで上がりそうなものは黒川官房長、事務次官を通じて処理していたものと思われます。従って、黒川氏は安倍内閣の暗部を深く知っていることになります。2月に違法な定年延長までして検事総長にしようとしたことは、これまでの貢献に報いようとしたこと以外に、現在捜査中の河井克行議員を不起訴に持ち込むこと、および黒川氏という安倍政権の暗部を知り過ぎた人物を組織に閉じ込めておく意味合いがあったと考えれます。
ところが安倍政権としては検察庁法を改正してまで黒川氏を検事総長にしようとしたのに、なんということか賭けマージャンと言う予想もつかない行為で、黒川氏は東京高検検事長を辞し、安倍政権の拘束を解かれてしまったのです。こうなると処分はできるだけ軽いものし、退職金は全額支払うことに依って懐柔するしかありません。だから退職金は全額支払われると思います。また賭博罪で立件をしないよう検察に働きかけると思われます。
それでも安倍政権の拘束を解かれた黒川氏は安倍政権の心配の種になりました。賭けマージャンで明らかになったように、マスコミの人脈は豊富であり、どんなルートからでも情報を拡散させることができます。もちろん情報源は秘匿されますし、何人かを経由し複数のマスコミから発信されることにより、情報源の特定は難しくなります。今後こういう事態が起こることが予想されます。また、暴露本を書けばベストセラー確実であり、印税収入でも生活できます。東京高検検事長と言う経歴、および戦略家であることを考えれば、大企業の取締役、監査役、顧問への就任要請も多いと考えられます。だから弁護士登録しなくとも生活に問題はなく、お金で口封じすることも不可能です。
安倍政権にとって黒川氏は、その行動を常時監視する必要がある悩ましい存在になりそうです。