NHK受信料値下げ、6,000億円貯め込む団体の値下げ額じゃない!

NHKは7月10日、受信料を10月1日から月数十円ほど値下げすると発表しました。何を唐突に思っていたら、今回の値下げは、今年4月に本格開始したテレビ番組のインターネット同時配信の実施条件として、総務省の有識者会議が受信料見直しなどを求めていたことを受け、2018年に決定していたものだそうです。

NHKによると、地上契約の「口座・クレジット」払いを現行の月額1,260円から1,225円に35円の値下げ、「継続振込等」払いを1,310円から1,275円に35円の値下げ、衛星契約込みの受信料も「口座・クレジット」払いを2,230円から2,170円に60円の値下げになるということです

現在コロナの影響で収入が激減した世帯や職を失った人たちが続出している状況を考えると、2018年度に決めた値下げ額をそのまま実施するNHKに怒りを感じます。「世の中の窮状は私たちには全く関係ありません。」と言っているようです。NHKは生活者の寄生虫であるとの認識が欠けています。

NHKは年間7,000億円以上の受信料収入を上げ、そのうち年間1,000億円以上を預金や有価証券の運用資金に組み入れています。その結果NHK本体に現金・有価証券が約4,800億円ありますし、関連会社に少なくとも1,100億円(剰余金相当額。現・預金額は不明)ありますから、全体で約6,000億円あることになります。これだけ余裕資金がある団体は民間企業を含めても少ないと思います。これは損益計算書に年間約1,000億円の減価償却費などの現金支出を伴わない費用を計上していることから可能となっています。損益計算書上はこれらの減価償却費などのせいで、利益が少なく出て、そんなに儲かってないことになっています。しかし現金収支報告書を見れば、これらの減価償却費などに対応する金額が外に出て行かず内部に貯えられていることが分かります。

これは搾取とも言える実体です。NHKを見ない人にも受信契約を強制し、受信料を取り立てています。また日本には年間所得200万円未満で生活保護を受けられるレベルの世帯が約20%ありますが、ここからも受信料を取り立てています。これらの世帯にとっては、月2,230円の受信料は1週間分の食費に相当する大金です(NHKの人には分からないでしょうが)。

昨年7月の参議院選挙で「NHKから国民を守る党」(N国党)が1議席を獲得し、NHKのスクランブル放送化を訴えました。そしたら上田会長(当時)は「受信料は受信契約の対価ではなく負担金だから、スクランブル化には馴染まない。」と言い出しました。ならば税金であり、所得に応じた負担とする必要があります。また負担金ならば英国BBC放送と同じように、一放送局を税金で維持する必要はないという議論になります。それを見越してBBCは一部の放送につき課金放送に移行すると発表しています。

このようにNHK制度のモデルとなった英国BBCでは合理的な改革が進んでいます。一方日本では、受信料負担に苦しむ世帯や人たちよりもNHKが大事という政治家や官僚がNHK受信料制度を何が何でも守ろうとしています。今回のコロナで多くの人たちが逼迫した生活状態に追い込まれており、これからNHK受信料を払わない人たちが増加します。その結果不払率は今年末25~30%に達します。そしてその不満は次の総選挙で爆発します。自民党はNHK受信料問題で少なくとも5%の票を減らします。そしてその後もNHK受信料問題は自民党の基盤を弱体化させて行きます。それは自民党の支持者にNHK受信料で苦しんでいる人たちが多いからです。安倍政権は最後の仕事としてNHK制度の見直しを行うべきです。