日産借入金に対する政府保証は検察暴走の補償

日産は今後の運転資金として必要と思われる約2兆円の資金を調達したという報道です。内訳は銀行借り入れが約9,000億円、社債が約1兆1,000億円ということです。社債は米国と欧州市場で発行し、金利は4.81%ということです。この低金利下で異常に高い金利です。こうでもしないと引受手がいなかったということですが、私からしたら金利が高いとしてもよく引受たなという印象です。金利が高くても会社が倒産したら意味がありませんから。そして日産が倒産する可能性は相当あると思います。それは販売台数が2017年の約577万台から今期は400万台程度に落ちると予想されており、これから今期1兆円程度の赤字が予想されます。これで留まればよいのですが、留まる可能性は低いと思います。一旦業績が悪化した日産のような大企業は、大リストラをしない限り再生することはありません。1999年に日産が最初の経営危機に落ち入ったときがそうでした。ルノーからゴーンがやって来て大リストラを実施し、再生しました。今回の危機に於いて日産は未だ大リストラを実施していません。海外の工場はいくつか閉鎖していますが、国内は全く手付かずです。日産のコストの大部分は国内の工場や社員で占めており、本当に再生を果たすなら、国内のリストラは不可避だと思われます。それが未だ全く着手されていませんから、日産の業績悪化は未だ底ではないことになります。年内に国内のリストラに着手し、来年の前半に底を打つような感じではないでしょうか。資金的には2兆円あれば資金繰りは付くと思われますが、2兆円以上ある借金の返済の目途が立たないと思われます。そうなると膨大や開発費や設備投資が出来なくなり、いずれメーカーとしてはやっていけなくなります。従って、再生の目途は全く立たないと言うのが現状です。

さて、今回の資金調達で注目されたことは、政策投資銀行の融資1,800億円のうち1,300億円に政府保証が付いたということです。これは政策投資銀行として正規に審査すれば500億円しか融資できないことを意味します。厳密には倒産の可能性があり融資できないという判断だったと思われます。では何故政府は民間企業への融資に保証を付けたのかというと、先ず日産が倒産すれば日本経済への影響が大きいことが挙げあれます。多くの失業者が出ます。これを防ぐのはどこの国であっても政府の役割ではあります。しかし、どんなにしても再生は難しい場合、保証を付けないこともあります。日産の場合、再生が難しいのに保証を付けています。

これは、日産をこういう状態にしたのは、行政機関である検察の暴走のせいであり、その補償の意味合いがあると思われます。

日産元会長ゴーン容疑者と共に逮捕されたケリー容疑者の裁判が始まりましたが、焦点は有価証券報告書に記載されなかったという91億円の報酬が確定していたか、いなかったかになっています。確定していれば記載しないといけなかったし、確定していなければ記載する必要はなかったという訳です。ゴーン容疑者とケリー容疑者は確定していなかったと主張しており、検察と日産は確定していたと主張しています。これで分かるように未だ支払われてもいないお金について、記載していないことがいけないのなら記載させればよいし、何も逮捕する必要はなかったのです。それなのに逮捕したのは、検察に2019年6月から使えるようになった司法取引制度を初めて使って手柄を上げたいという誘惑があったからです。その場合、逮捕者は大物が良いわけで、ゴーン氏は格好の人物だったのです。こうして今後検察の不祥事として歴史に残るゴーン氏とケリー氏の逮捕が実行されたのです。ゴーン氏1人で持っていた日産が窮地に落ちるのは誰だって分かったはずです。ただし、手柄を上げたい検察には分からなかったようです。こうして売上高10兆円を上回る大企業が倒産の危機に瀕することになったのです。これは行政機関の不祥事であり、政府の責任となります。そのため政府は、この不祥事の補償の意味合いで日産の借入金に保証を付けたとも考えられます。