法律には全て有効期限を設けるべし
河野行政改革担当大臣が省庁に押印を廃止できる書類の報告を求めたところ、全体の96%が可能との回答があったという報道です。押印の代わりに署名するものが大部分だとは思いますが、押印よりは時間が減少し、事務の合理化になることは間違いありません。
役所は前例主義であり、一度始められた様式を踏襲する習慣があります。なぜこの様式にするのか考えないことにしているようです。考えて様式を変えるとなると仕事が増えるし、作った人がいたら睨まれることにも成り兼ねません。だからとんでもない様式が残っているし、合理的な様式に変えません。
私が30数年ぶりに東京から故郷に引っ越したとき、衆議院選挙があり投票用紙が送られて来ましたが、投票所として「~公民館」としか書かれておらず(住所が書かれていない)、場所が分からずに大変困りました。昔は、公民館は誰でも知っている存在だったかも知れませんが、最近は公民館に行ったことがない人も多いと思います。特に新しい住民は先ず知らないと思った方がよいと思います。私が住んだ場所は、県の出先機関に転勤できている公務員や会社の出張所に勤める人が多く住んでおり、公民館がどこにあるか知らない人は多かったと思います。後で分かったのですが、公民館は表通りから中に入った旧住宅地の、新しい住民はまず行くことがない場所にありました。住所表記が必要なことは投票用紙をチェックしていれば気付かなければおかしいのですが、戦後ずっとこの様式が続いていたようです。その後引っ越す際に故郷の市役所に手紙を書き指摘しておきましたが、直したかどうは分かりません。これで分かるように、古いやり方を続けている例は中央官庁より地方の市町村に多いと思います。
中央官庁の官僚の場合、法律を作ると得点になるので法律作りは熱心ですが、法律を廃止しても得点にならないので、無駄な法律とその法律に定められた手続きが貯まって行くことになります。河野大臣には、長年の間に溜まった無駄な法律と手続きを一掃して頂きたいと思います。職員は、無駄だな、おかしいなと思いながらやっているはずなので、職員に出させれば沢山出て来るはずです。今期は無駄と思われる法律や手続きの提案と改廃を職員の業績評価に加えれば効果がでると考えられます。
そして今後無駄な、或いは合理的でない法律や手続きがそのままやり続けられることを防ぐためには、法律に有効期限=見直し期限を設定することが必要だと思われます。例えば、民法や商法、刑法などの基本的な法律は、有効期限(見直し期限)を10年とし、その関連法律は5年とします。期限が近付いたら、必要不要を判断し、必要な法律は内容をより妥当なものに修正します。法律は立法時点が最も妥当で、その後は社会情勢の変化により妥当性を欠く内容が増えて行きます。だから定期的な見直しは不可欠なのです。こうすれば、無駄な法律や手続きが見直され、そのまま貯まることはなくなります。