大病院初診料7000円に引き上げは開業医救済策

厚生労働省が紹介状なしの大病院の初診料を現行5,000円から7,000円に引き上げる検討していると言う報道です。現在、紹介状なしで大病院を受診した場合、1~3割の窓口負担とは別に、初診で5,000円以上を追加で支払う必要がありますが、この負担を7,000円程度に引き上げて、大病院に患者が集中する状態を改善することが狙いと言うことです。現行制度では、病床200床以上の「地域医療支援病院」と「特定機能病院」の計666病院が追加支払いの対象となっていますが、対象となる病院も拡大する方針とのことです。

これは国民が等しく同質の医療を受けられると言う国民皆保険制度の主旨を逸脱し、貧乏人は大病院を受診できなくしようとするものです。同時に数が増え、経営が苦しくなっている開業医に患者を回し救済する狙いがあると思われます。

大病院に患者が集中するのは、大病院が開業医より優れた医療を提供しているからです。先ず第1に検査機器が揃っています。開業医には検査機器が殆どありません。内科なら胃カメラか超音波検査機くらいです。大部分の診断方法は血液検査か問診となります。問診の場合、長くやっている開業医は同じ質問を患者に繰り返すのが嫌なようで、「で、どうしましたか?」と聞いて、患者が症状を話すと、後は「じゃ、薬を出しておきましょう。治らなかったらまた来てください。」で終わりです。まるで占い師のようです。ビジネス界では明白な根拠を求められることが多いため、ビジネスマンの患者はこの程度の医者の診断では信頼できません。その点大病院は、「どうしましたか?」「そうですか。先ずは検査をしてみましょう」となります。どう考えても真っ当な順番であり、安心感があります。多くの開業医は研修医時代の経験を使い回ししているだけであり、開業後は1人のためレベルアップする道がありません。また開業医は王様であり、態度が横柄な人が多いです。レベルが低いのに態度が悪いのですから、行かなくなるのも当然です。その点大病院には多数の医師がおり、指導的立場にある医師もいるため、常にレベルアップできます。また患者と接する態度も常に評価・指導されているため、傲慢な医者は殆どいません。

このように大病院に患者が集中する原因は開業医にあり、これを改善しない限り大病院集中は改まりません。

大病院の初診料を上げずに大病院の混雑を緩和するためには2つの方法が考えられます。

1つは、初診は大病院とし、大病院で継続してみる患者と開業医で十分な患者を分けることです。慢性病など服薬すればよいと判断されれば開業医に行くよう指示します。即ち、患者の振り分け機能を大病院に持たせます。2つ目は、開業医に監察制度を導入し、開業医のレベルアップを行うことです。開業医のレベルアップを進めない限り、大病院への患者集中の根本的解決にはなりません。

初診料を上げて貧乏人を大病院に行けなくするのは、国民皆保険の制度趣旨に反し、社会分断を招きます。