熊本は全国上位県を目指さないと州都にはなれない

以前ある雑誌に道州制を採用した場合、どこを州都にしたらよいかという記事がありました。そこで九州では福岡市でなく熊本市を州都した方が九州の発展には有益との学者の話が掲載されていました。私は熊本出身で今福岡市に住んでいますが、福岡市は人口が160万人を超え、全国でも勢いがある街なので、誰が考えても九州の州都は福岡市だろうと思っていました。だからこの学者の話には脅かされました。熊本市を州都にした方が良いと言う根拠は、福岡市だと発展が九州北部に偏るということのようです。その点熊本市は地理的に九州の中心に位置し、北の福岡市ばかりでなく南の鹿児島市、宮崎市からも近く、九州の均衡的発展に繋がるという訳です。なるほど説得力のある話です。

確かに九州だけを考えればこの方が良いかも知れません。しかし全国の道州との競争を考えれば、州都は一番経済が発展し、文化も栄えている街に置く方が良いと思われます。今の日本を考えれば、経済や文化の中心地である東京が首都なのは当然のことです。東京は首都になったから経済や文化が栄えたという見方もあると思いますが、新たに州都を考える場合、現在の状況が優先されます。北海道が札幌市、東北が仙台市、東海が名古屋市、近畿が大阪市、中国が広島市が州都となることを考えると、九州でこれに対抗できるのは福岡市以外にありません。

経済や文化以外でも州都には全国的に誇れる存在が必要です。例えば学力の優れた学生が集まる大学であり、強いプロスポーツチームの存在であり、高校野球やサッカー、ラグビーでも全国的な強豪校の存在が必要です。福岡市には旧帝大で難関大学の1つとされる九州大学があり、プロ野球では日本一のソフトバンクホークスがあり、Jリーグでは来シーズンからアビスパ福岡が1部に昇格します。高校スポーツではサッカーやラグビー、バレーボールでは東福岡高校が、バスケットボールでは福大大濠高校と福岡第一高校が全国的な強豪校です。熊本で見るとプロ野球で言えば来年から九州独立プロ野球リーグが発足し、熊本市を本拠とする「火の国サラマンダーズ」が活動するようですが、ソフトバンクホークスとは比べようがありません。またJリーグもロアッソ熊本は3部リーグであり、アビスパが1部に上がったのと比べ差があります。バスケットは熊本ボルターズ、福岡ライジング共にBリーグ2部ですが、これは九州に1部のチームがないことが問題です。高校スポーツでは高校野球はこの秋の大会を見れば分かるように九州大会では熊本代表2校は1回戦で敗退しています。サッカーでは大津高校は東福岡高校と並ぶと言っても良いかも知れません。それ以外では男子バレーボールで鎮西高校が全国的強豪校であり、東福岡高校と並ぶと思われます。また剣道と駅伝では九州学院が全国的な強豪校です。こう見ると高校スポーツでは負けていないかも知れませんが、全国的に最も注目される高校野球が最近弱いことで、熊本の高校スポーツは弱いと言う印象になっています。

熊本は県の総所得としては全国20数番目と全国の真ん中辺りに位置しますが、県民1人当たりの所得で見れば40位台に落ちます。全国での順位が高いのは人口が170万人台と九州2位を誇り、全国でも中位にあるからです。やはり1人当たりの所得が県民の勤勉さや優秀さを示すことになります。そう考える熊本県民は余り勤勉でもないし、優秀でもないと言う評価になります。そんな地域に州都を置けば、その空気が伝染し、州都の企画力や推進力が低下することになります。この観点からしたら最も州都にふさわしいのは福岡市であり、次に北九州し、3番目は関西との経済交流が盛んで合理精神溢れた大分市ではないかと思います。

私が思うに熊本市が州都になるためには、あらゆる競争において熊本の団体やチーム、個人が上位に進出し、熊本県は優秀という評価を勝ち取る必要があると思います。そのためにはロアッソ熊本や熊本ボルターズが早く1部に昇格すること、高校野球でも強豪校が育つこと、その他学力でも全国の上位に行くことが必要だと思います。熊本県教育委員会は次の3か年計画で、熊本の学校の学力目標として全国中位になることと置いていましたが、余りの目標の低さにびっくりしました。これでは九州をリードする州都は無理です。やはり学力でも全国上位になる必要があります。