菅首相は河野首相で総選挙に臨むつもりかも

1月18日菅首相はコロナワクチン接種の担当大臣に河野太郎行革担当大臣を任命しました。最近支持率急落の菅首相にとっては、久しぶりのサプライズ発表でした。コロナワクチン接種業務は、普通ならば田村憲久厚生労働大臣の下厚生労働省の業務として進められ、わざわざ別の担当大臣を置くことはないところです。もし置くとすれば新コロナ対策担当大臣を兼務する西村経済再生担当大臣でしょうし、内閣の責任で進めるとしたら加藤官房長官ということになります。今回この3人を差し置いて河野大臣を指名したことについて報道では、3人については菅首相の信頼がいまいちであり、河野大臣の突破力に期待したとの報道が見られます。確かに、西村大臣は話好きという以上の取柄は見えませんし、加藤官房長官の実行力の無さは前任の厚生労働大臣で実証済みです。田村大臣については、厚生労働行政についての知識はあるようですが、官僚の言いなりであり、現在のコロナ感染拡大を招いた戦犯とも言える存在です。こう考えると菅首相がこの3人には任せられないと考えるのは当然です。

一方河野大臣ですが、行政手続きからハンコを廃止すると言い出し、90%以上廃止する目途を付けています。これをもって菅首相は、河野大臣は実行力があると判断したようですが、これは少し考えものです。というのは、ハンコは誰が考えても「署名があれば不要では?」と考える状況にありました。従って河野大臣でなくても誰が言い出しても同じような結果になったと思われます。河野大臣が優れている点は、このように結果が出やすいテーマを取り上げるところです。

しかし河野大臣の手法には注意が必要です。それは独断で結論を出してしまう点です。昨年6月には閣議決定していたイージス・アショア配備計画を独断で撤回してしまいました。閣議で決定したことは、決定したのと同じ手続きを経て撤回される必要がありますが、実質的に河野大臣の決定が政府の決定となってしまいました。これをもって突破力があると評価するのは違うと思われます。河野大臣はワクチン担当大臣になってからも6月までにワクチンを確保できるという政府の公式発表を独断で取り消すと発言しました。そのためこれを発表した坂井官房副長官との間で対立が生じています。この河野大臣のやり方は、自分の思う通りにやってきた良家のお坊ちゃまが大臣になってもそのままやっている感じです。なんとなく安倍首相に似たところがあります。河野大臣がとりわけ頭がよいのならまだ良いのですが、それ程頭が良いとは思えません。従って、この河野大臣の独断専行は極めて危険と言えます。

さてこんな諸刃の剣である河野大臣を菅首相が目立つワクチン担当大臣に任命したことには、更に深謀遠慮があると考えられます。菅首相の支持率はコロナ対策の失敗から就任当初の70%超から最近は30%台に急落しており、記者会見やテレビ中継でのペーパー丸読みや言い間違い、活舌の悪さなどから、今後更なる下落はあっても回復はないと考えられます。そしてコロナ感染拡大が止まらないことや3月にも予想される東京オリンピックの中止決定がダメを押すと考えられます。そうなると自民党内では菅首相では総選挙は戦えないと言う声が強まります。菅首相が一番気にしていることは自分の不人気のせいで次の総選挙で自民党議員が大量に落選することだと思われます。従って菅首相は総選挙前の退任を考えており、その場合後任は国民に人気がある河野大臣にしたいと考えているのではないでしょうか。その流れを作るために河野大臣を今後注目が集まるワクチン担当大臣に任命したとも考えられます。

この場合総選挙は9月に自民党総裁選の後河野首相の下でというシナリオが考えられます。更に深読みすれば、菅首相は次の総選挙には出馬せず引退するのではないでしょうか。菅首相は小泉元首相により総務大臣に抜擢されここまで出世したことから、小泉元首相が1つの目標であったと思われます。従って首相を辞めたら小泉元首相と同じように引退すると予想します。それは首相退任後も政権に干渉した安倍元首相への当て付けであり、自民党の2大老害である二階幹事長および麻生財務大臣への引退勧告の効果もあります。菅首相は首相としては期待外れですが、人間的には悪くないと思いますので、去り際の美学に期待したいと思います。

(このブログは1月23日に書いたのですが、翌24日午後のヤフーニュースを見たらテレビ朝日の番組でタレントの東国原英夫氏が同じような内容の話をしたと出ていました。出し抜かれました。)