信長、光秀に“ある命令”突きつける!それは斎藤利三切腹

<麒麟がくる>「そなたがわしを変えた」 信長、光秀に“ある命令”突きつける! 最終回新場面カット公開、というヤフーニュース記事が出ていました。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」も明後日(2月7日)が最終回ということで、NHKも盛り上げに懸命です。ここで言っている”ある命令”が光秀に本能寺の変を決意させたという筋書きだと思われます。それでこの”ある命令”について大河ファンの間で議論が盛り上がっているようです。しかしこれはこんなにもったいぶるものではありません。”ある命令”とは明智家の筆頭家老斎藤利三に切腹を申し付けることです。

この事件は「稲葉家譜」に書いてあります。稲葉家譜は史料に信憑性がない(いつ、誰が書いたか分からない)として学者は取り上げませんが、事実である可能性が高いと思います。桐野作人氏が熱心に唱えていますし、最近では垣根涼介氏の「信長の原理」「光秀の定理」もこれに依っていると思います。私も「明智光秀・徳川家康・春日局を繋ぐ点と線」を書くに当たって調べたところこれしかないと思いました。(「麒麟がくる」の脚本家池端俊策氏は垣根氏の2作品を参考にされているのではないでしょうか)

「麒麟がくる」でも12月27日放送分で、光秀の元に来た斎藤利三を稲葉一鉄の元に返すよう信長が光秀に命じ、光秀は拒否しています。最終回でまた信長は光秀に斎藤利三を稲葉一鉄の元に返すよう命じますが、光秀はまた拒否します。これに怒った信長が「ならば利三は切腹だ!」と命じることになります。これはその場に居合わせた信長家臣の猪子兵助がとりなし取り消されたようですが、光秀は大将の命令を拒否していますから、解任されてもおかしくありません。光秀にとっては家臣を守ると言う一存で出た行動でしたが、大将の命令に背いた以上今後波乱は避けられない状態でした。そこで明智家の重臣と相談の上本能寺の変を決断したものと思われます。たぶんこんな流れです。

追伸;ヤフーニュースに「麒麟がいく」最終回終了後、福知山市が「麒麟ロスオンライン後夜祭」を開催するという記事がありました。そこに桐野作人氏が招待されています。桐野氏は早くから本能寺の変の原因は、「稲葉家譜」にある信長の斎藤利三への切腹命令だと主張してきた人です。学者からは相手にされませんでしたが、徐々に支持者を増やして来ていました。最近NHKの「英雄たちの選択」で明智光秀を扱って、桐野氏もゲストで参加したのですが、本能寺の変の原因について一切自説を主張せず、おかしいなと思いました。桐野氏は制作に関与していたのかも知れません。それで最終回のゲストは誰が良いかと相談されたNHKの制作陣または歴史考証を担当した静岡大学名誉教授の小和田哲郎氏(福知山市の前回の麒麟イベントのゲスト)が桐野氏を推薦したものと思われます。この説が正しいかどうかは別問題ですが、NHKの大河ドラマで学者から論外扱いされてきた自説が採用されたということは、桐野氏にとっては感慨深いものがあると思います。

次のブログも参考に;昨日の「麒麟が行く」で本能寺の変の布石があった!

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