国家公務員試験申込者14.5%減、もう優秀な官僚は死語
人事院は16日、2021年度の国家公務員採用試験で、キャリアと呼ばれる省庁幹部候補の総合職申込者数が前年度比14.5%減の1万4,310人だったと発表しました。これは5年連続の減少で、減少率は過去最大だそうです。
2020年度の国家公務員総合職試験の合格のうち東大生が249人と前年と比べ58人、18.9%減少し、全体に占める割合も14.5%と2.6%減少したことから、東大生の間で官僚人気が落ちていることは分かっていましが、これが大学生全体に広がっているようです。特に昨年はコロナの影響で大学生の就職が厳しかったことから、今年は公務員が人気化すると予想されましたので、この減少は意外と言えます。
申込者の減少はここ5年連続ということであり、これは安倍政権から始まっています。安倍政権時代、森友事件では佐川財務相理財局長が嘘の答弁を繰り返し、議事録の改ざんを指示していました。そして佐川局長をそのような行動に走らせたのは安倍首相や麻生財務大臣でした。佐川局長はこの論功行賞で国税庁長官に出世しましたが、検察から起訴しない条件として議事録改ざんを指示した佐川長官の辞職が必要と迫り、辞職に追い込まれました。そして今は議事録改ざんの実行に当たり自殺した近畿財務局職員の遺族から裁判で監督者責任を追及されています。同じく安倍政権時代、加計学園問題で国会に参考人招致された経済産業省の柳瀬審議官は、「記憶にない」という答弁を繰り返し、自ら辞職しました。また安倍政権の顧問弁護士と言われた黒川東京高検検事長は、安倍政権への論功行賞で検察法の解釈変更という禁止手で定年を延長され、検事総長就任目前で賭けマージャンが発覚し、辞職に追い込まれました。黒川氏の賭けマージャンについて東京地検は昨年12月不起訴処分としましたが、審査請求を受けた検察審議会が起訴相当議決を行ったため、東京地検はこの3月略式起訴しました。このように安倍政権に尽くした官僚は悲惨な最後となっており、これが学生の官僚不人気に繋がったと考えられます。官僚が不人気化している原因を勤務時間の長さに求める意見がありますが、学生がこれを実際に体験しているわけではなく、受験勉強や遊びで徹夜に慣れている学生にとって大きな原因ではないと考えられます。やはり末路が惨めすぎるというのが最大の原因だと思います。
昨年東大生の合格者が前年より約2割減少していますが、これは以前に比べ成績優秀な東大生の上位2割が減ったと考えてよく、現在官僚になるのは、東大生の中で平均以下の学力の東大生だと思われます。平均以下の学力の東大生は、他の難関大学の学生とそんなに差がなく、東大卒と言われなければ分からないくらいです。要するに学力的にも大したことないし、社交性などは早慶などと比べて落ちることから、総合的に判断すると優秀な官僚とは言えなくなっています。それが最近問題になっている法案のミスの多さになって表れていると思われます(ミスのチェックは若手官僚の仕事)。
日本の財政はGDPに対する国債の比率が約200%と破綻確実な情勢です。これを改善するには、現在のGDPに対する輸出比率16%を韓国並みの42%(いずれも2017年度の数値)に引き上げるしかありません(国債を日銀が引き受けて円を溢れさせる代わりに、輸出で稼いだ外貨が円に転換され国内に溢れるようにする)。これには経済産業省などの官僚が中心となってかっての輸出大国日本に導くしかなく、今こそ優秀な官僚を必要としています。このまま官僚不人気が続けば日本は破綻へ突き進むことになります。