ソウルの平均マンション価格9,000万円、日本のバブルにそっくり
韓国ソウルの平均マンション販売価格は9,000万円だそうです。ソウルは605万km2の面積で約1,000万人の人口ですから、東京23区(627万km2、人口965万人)と同じ規模です。東京23区の平均販売価格は約6,500万円で、千代田区、港区、渋谷区は1億円を超えています。ソウルは町全体が千代田区、港区、渋谷区状態ということになります。これは、ソウルにお金が溢れていることが原因であり、9,000万円を出してマンションを買える人がたくさんいるということです。
私は福岡市に住んでいますが、福岡市は韓国釜山に近く、定期船が就航していることから、日韓関係が悪化する数年前まで韓国人が街に溢れていました。そのため街の案内板には韓国語表記があります。福岡市で見かける韓国人は皆立派な服装で、日本人とは服装で判別できました。派手というよりは良いものを着ているという感じです。ここから韓国は日本より豊かではと感じていました。しかし日本の報道を見ると韓国を日本より下(貧しい)と位置付けており、私の認識とギャップがありました。そこでいろいろ調べて行くと、経済指標でも既に韓国が日本を抜いていることが分かってきました。先ず1人当たりGDPですが、IMFの2018年度の資料による日本4万1,501ドルに対し、韓国4万2,135ドルとなっていました。次に驚いたのは、昨年ヤフーニュースに載った韓国紙の報道で、韓国大企業の大卒初年度の平均年収が約410万円という数字を見たときです。日本は300万円台であり、400万円超える会社は少ないと思います。ここで従業員の待遇においても韓国が日本より良いことを知りました。さらに今年同じくヤフーニュースに載った韓国紙の報道で、サムスン電子社員(約11万人)の2020年度の平均年収が1,220万円という事実を知りました。これは日本では商社、放送、銀行、生損保などの水準であり、メーカーではあり得ない金額です。サムソン電子の2020年12月期の決算は、売上高約22兆4,500億円、営業利益約3兆4,100億円という数字ですが、これが従業員に1,220万円の給与を払った後の数字です。サムスンは日本ではトヨタのような存在ですが、トヨタの2021年3月期の決算は、売上高29兆9,299億円、営業利益2兆4,428億円ですから、売上高ではトヨタが8兆円程多いですが、利益はサムスン電子が約1兆円多くなっています。そしてトヨタの従業員平均年収は865万円ですので、サムスン電子は従業員にトヨタの約1.5倍の給与を払っていることになります。そのサムスン電子の本拠がソウルですから、ソウルにはお金が溢れるはずです。
サムスン電子は、半導体、スマホ、テレビなどの輸出で知られていますが、韓国全体でもGDPに対する輸出の割合が42%(2017年)と高く、これは世界的にはドイツ(46%)に次ぐ高さです。そのため輸出に伴い獲得した外貨がウォンに転換され、フォンが国内に溢れ、それがソウルのマンション価格上昇に繋がっていると思われます。ベンツなどのドイツ製高級車も日本より遥かに見かけると聞いたことがあります。
これは1980年代の日本のバブル状態にそっくりです。日本は1980年半ばまで電気製品や自動車、半導体などを世界中に輸出し、1人勝ちの状態でした。それで稼いだ外貨が国内で円に転換され、円の流通量が増大しました。それが不動産に向かい、価格が上昇した不動産が担保価値を増して銀行融資の増大を招き、バブル状態となりました。今のソウルの状態がこれとそっくりです。
韓国が輸出を増やしたのは、日本から輸出品を奪ったからであり、韓国の輸出の増加と日本の輸出の減少がシーソーのようになっています。今後日本やアメリカ、欧州の国々は、サムスン電子の屋台骨を支える半導体の自国生産を強化する方針であり、サムスン電子の好決算も今年がピークとなる可能性が高いと思われます。日本も財政再建のためには輸出比率を高めるしかなく、そのためには韓国に奪われた輸出品を取り返すしかありません。これらにより韓国の輸出の割合は今後低下すると思われ、韓国はそう遠くない時期に輸出バルブ崩壊に見舞わると予想されます。