通信費世界で2番目に安い?総務省のプロパガンダと新聞の提灯記事

日本の通信費は世界で2番目に安くなったという新聞報道を目にしました。

読売新聞では、「総務省は25日、東京を含む世界6都市の今年3月時点の携帯電話料金を公表した。人気の高い月間データ容量20ギガ・バイト(GB)のプランでは、東京は月額2973円で、ロンドンに次ぐ安さとなった。昨年は6都市で最高の8175円と国際的に高水準であることが問題視されてきたが、菅首相が主導した料金値下げが携帯大手に広がり、様変わりした。」と報道しています。

この調査ではその国でシェア1位の業者の料金(日本ではドコモ)を比較しており、ニューヨーク7,994円、ロンドン2,166円、パリ3,839円、デュッセルドルフ8,325円、ソウル5,712円となっています。

総務省の余りの我田引水ぶりと新聞の提灯記事に思わず笑ってしまいました。

ドコモの20Gプランが開始されたのは3月26日であり、総務省はこれを待って調査を実施し、都合の良い数字を見つけ出したようです。そして新聞は政府広報誌の実体を曝け出したような提灯記事を書いています。まるで第二次世界大戦中の大本営発表を報道する軍部統制下にある報道機関のようです。

ドコモが20G2,980円(その後2,700円)のアハモの料金で比較すればこうなるかも知れませんが、アハモはインターネット専用プランであり、これによりアハモに乗り換えられるユーザーはわずかと言われています。それはこれまで日本のスマホユーザーは、スマホショップで加入手続きを行い、スマホ操作を習ってきており、インターネットでの申し込みや開通手続きができない、或いは不安を感じる人が多いからです。ドコモや追随したau、ソフトバンクのこの20Gプランは、3社にとって大きな減収にならない、即ちユーザーの大幅な通信費の削減にはならないことを確認して設定されています。事実この影響が本格的に表れる今期の減収額は、ドコモが450億円、auとソフトバンクが各700億円と予想しており、3社合計でも1,850億円にしかかなりません。これは3社合計の総収入(売上高)約15兆円の1%強です。純粋な通信収入を10兆円としても2%にも達しません。これが総務省が世界で2番目に安いと言っている20Gの通信費の実態です。これは菅首相が2年以上前から言っている通信費の4割値下げには遥かに届きません。これを総務省が発表したのは、武田総務大臣へのゴマすりと菅首相へのアピールのためと思われます。またそれと同時に通信費値下げに打ち止め感を出し、通信3社を支援するためと思われます。依然として総務省は通信3社の味方です。

それ以上に呆れるのが新聞報道です。総務省の記者クラブで配布された報道資料をそのまま記事にしています。先ほど指摘したこの料金調査の欺瞞については全く触れていません。大手新聞社は子会社にテレビ局を持っており、テレビ電波は総務省管理下にあるため、総務省の意図に反するするような記事は書けないようです。また2019年10月からの消費税2%引上げに際して新聞購読料は適用除外を受けており、新聞は政府から首根っこを押さえられています。この結果、大手新聞社は政府の広報誌というのが実態であることが分かります。そんなことが明確になった本件報道です。