新聞の世論調査に有権者が嘘をつき始めた
自民党総裁選挙を巡り新聞やテレビが世論調査の結果を発表しています。朝日新聞が9月11日、12日に行った調査では河野太郎氏33%、石破茂氏16%、岸田文雄氏14%、高市早苗氏8%、野田聖子氏3%となっています。共同通信が9月10~13日に行った調査では、河野太郎氏が31.6%、岸田文雄氏14.3%、高市早苗氏7.2%、野田聖子氏0.9%となっています。朝日新聞と共同通信の内容を比べると、共同通信では石破茂氏の名前が出ておらず、4名の合計が朝日新聞の74%に対し54%となっていることから、共同通信では立候補しないこことが確実となった石破茂氏の支持率を除外しているものと思われます。この両社の調査結果を見ると、河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏の支持率はほぼ同じような数字ですが、野田聖子氏の支持率は朝日新聞で3%と高くなっています。感覚的には共同通信の0.9%の方が実態に近いと思われます。この違いは、朝日新聞がRDD(Random Digit Dialing)」というコンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法 で調査しているのに対し、共同通信が個別面談方式で調査していることから来ていると思われます。私もRDD方式でかかってきた電話に出たことがありますが、明らかにコンピュータによる調査だと分かるので、直ぐ切ります。答えている人はどんな人かと予想するに、高齢者や政治にあまり関心がないけれどアンケートは好きな人ではないでしょうか。その結果、テレビで良く顔を見かけ、新聞で良く取り上げられる河野太郎氏や石破茂氏の支持率が高くなると思われます。
新聞やテレビの世論調査の結果はほぼ同じような結果となっており、ちゃんとやっていることは間違いないと思います。しかしこれを世論としてテレビや新聞の論拠とすることには違和感があります。それは常識的に考えておかしいからです。河野太郎氏は確かに主張が明確であり分かり易く、ユニークやキャラクターで面白いですが、やったことが途中で頓挫している例が多く(陸上イージスに中止は代替手段がない状態、FAXの廃止も撤回、コロナ職域接種でワクチン不足)、その短絡的な思考が問題になっています。また石破茂氏は、昨年9月の総裁選挙に敗れ派閥の会長を辞任し、事実上総裁候補ではなくなった人です。また話も「そう考えないわけでもない」「改めるべき点は改めないといけない」など訳が分からない物言いであり、とても日本の首相は務まらないのは明確です。社会は政治に関心がない人たちが多数派だとしても、選挙に行くのは政治に関心がある人たちであり、世論調査は選挙に行く政治に関心がある人たち向けてなされないと、選挙の結果を占うものとはなりません。ここに新聞の世論調査がハズレル原因があります。
それに最近の傾向として、電話や個別面談による調査に意識的に嘘をつく有権者が増えているように感じられます。東京都議会議員選挙についての新聞・テレビの世論調査の結果と選挙結果の違いはそれによって生じたと考えられます。調査を受ける人は謝礼を貰っているわけではないので誠実に答える必要ありませんが、大体の人は習慣上誠実に答えていると思われます。しかし米国のトランプ大統領が当選した大統領選挙で世論調査に嘘をついた有権者が相当いたような現象が日本でも起きているように感じられます。これは今は少数でも今後増えて行くと予想されます。それは新聞やテレビの予想がハズレルのは、答えた人としてはとても愉快だからです。一種の愉快犯です。
これらの分析から新聞・テレビの世論調査方法はやり方を変える必要があると思われます。ネットの世論調査を見ると、参加者は数十万人であり、新聞・テレビの数千人(せいぜい2千人)と大違いです。またネットの調査では、回答者は自主的に参加しており、調査結果は本音の集まりと言えます。従ってネットの世論調査の結果は、ある一定の集団の意思を表していると言えます。以前はネット利用者は少数派でしたが、今はそんなことはなく、有権者の過半数以上はネットを利用していると思われます。だからネットの世論調査の結果は、新聞やテレビの世論調査の結果よりも信頼性が高いと言えます。
新聞やテレビもネット契約者を多数抱えており、この契約者に向けて世論調査を行うことを考えた方が良いと思われます。今回の自民党総裁選でネット世論では断トツの高市早苗氏が総裁になったら、新聞やテレビはネット世論調査に切り替えざるを得なくなります。それは新聞が廃刊になる日が近いことを暗示することにもなります。
追伸;
9月18日に行われた日本記者クラブで行われた総裁候補4人に対するテレビ・新聞記者からの質問が河野氏と岸田氏に集中し、高市氏と野田氏が蚊帳の外に置かれたとネット上で批判されています。これは新聞やテレビの報道姿勢がそのまま出たものです。新聞やテレビが何故こうも河野氏と岸田氏を取り上げるかというと、担当記者が両氏と付き合いが深いこと、両氏が総裁=首相になれば、安いテレビ電波料や新聞購読料への軽減税率が安泰であること(高市氏は見直す可能性がある)と同時に、河野氏が慶大OB、岸田氏が早大OBであり、テレビ局と新聞社にはこの両大学のOBが多く、同窓の河野氏、岸田氏を総裁にしたいという思惑があるためと考えられます。特に上級国民クラブ作りに励む慶大三田会が河野氏を総裁=首相にするために暗躍しているように思われます。