自民党は一度廃止しないと変わらない
こう思った出来事が2つありました。1つは2019年7月の参議院議員広島選挙区で自民党本部が河井案里候補の陣営に配った1億5,000万円が買収に使われた疑惑について、9月22日自民党本部が買収に使われていなかったと発表したことです。
本件については東京地裁が今年6月に買収を主導した案里候補の夫である元衆議院議員河合克行被告に言い渡した判決によると、広島3区選出の自民党衆議院議員だった克行被告は19年3~8月、案里氏を当選させる目的で広島県内の地方議員や首長、後援会員ら100人に計2,871万円を渡し、この内県議4人への160万円の提供は案里氏と共謀したとなっています。案里氏は懲役1年4カ月、執行猶予5年、公民権停止5年の有罪判決が確定し、克行被告については控訴審が進行中です。克行被告は裁判で買収資金は「議員歳費をためていた自宅の金庫から出した」などと説明したようですが、これを信じる人はいないと思います。やはり1億5,000万円の全部または一部が使われたと考えるのが常識です。自民党本部が1億5,000万円は買収資金には使われていなかったと発表したのは、克行被告の資金収支報告書に基づいており、裁判の被告が本当のことを書くわけが無く、根拠になりません。信頼できる第三者の調査を入れる必要がありますが自民党本部はこれを行っておらず、よくもまあ誰だって納得しない発表をしたもんだと思います。ネットでは子供だましの発表と言われ、呆れられています。
もう1つは9月24日、デジタル庁の赤石浩一審議官が内閣官房イノベーション推進室イノベーション総括官だった昨年9月25日、10月2日および12月4日の3回、NTTから総額約12万円に上る接待を受けていたとして、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分となったことです。そのうち2回は平井卓也デジタル担当大臣の接待に同席していたようです。要するに大臣の同席するようにとの指示で内規違反をしていたことになります。これでは重い処分はできないし、今後このような内規違反も無くなることはないと思われます。
昨年は菅首相の次男が勤務する会社が総務省の幹部を接待していたことが報道され、総務官僚が数人処分されました。このときは更迭や辞職と実効性を伴う処分となりました。しかし今回は減給10分の1(1ヶ月分)のみで、職務はそのままです。民間企業の場合、管理職がこのような内規違反をしたら降格など職務上の不利益を伴う処分を受けます。監督する立場にあるものの行為であり、一般社員より厳しく処分します。先ずそのままの地位に留まることは不可能です。官僚の場合、処分が形式だけであり、実効性が伴っていないケースが多くなっています。代表的な例が森友事件で議事録などの偽造が判明し、それを理財局長が指示したとして関係者10名以上が処分されたケースです。処分後数カ月したら全員昇格し、処分に実効性がないことを示していました。これでは不祥事は無くなりません。
このようになるのは、処分に客観的な基準がなく、多くは大臣の匙加減でどうにでもできるようになっているためだと思われます。大臣は処分を軽くしてやることによって自分に忠誠を尽くすようにしています。まるでヤクザの親分子分の関係です。
結局官僚に不祥事が絶えないのは、官僚を支配する自民党の国会議員が不祥事まみれであり、不祥事を軽く考えているからです。
以上から、やはり自民党は一度廃止しないと変わらないと思われます。