読売15年、朝日10年、毎日5年

これは新聞の寿命です。これ以内に廃刊に追い込まれると思われます。2020年10月末における新聞の一般誌(スポーツ誌が除かれる)の発行部数は約32百万部です。前年より240万部減少しています。2000年が54百万部ですので、20年間に22百万部の減少です。約41%の減少率となります。その結果1世帯当たりの部数は1.13部から0.61部に減少しています。

これはインターネットの発達によって、インターネットの方が新聞よりも速く、かつ広範な情報が低コストに入手できるようななったためです。新聞もインターネット配信にシフトしていますが、長い紙媒体と宅配の歴史および多数の宅配網を抱えているため、遅々として進みません。

部数減少のもう1つの要因は、家計が新聞を購読する余裕がなくなったことです。日本の多くの家計はこの30年間収入が増えておらず、一方では税金や社会保険料などの公的負担を中心に支出が増えていますので、何らの支出カットが必要となっています。そのカット対象に新聞が選ばれているのです。特にこの10年間は携帯電話3社が公共料金とも言える携帯料金を高く設定し、家計から収奪の限りを尽くしたことが部数の減少に拍車を掛けています。新聞は携帯料金値下げの先頭に立つべきでしたが、多額の広告料に目がくらみ、携帯電話3社の片棒を担いで来ました。この面では自業自得と言えます。

新聞はネット民からはマスゴミと言われ、記事が批判の対象にされていますが、これは新聞が余りにも政界および官界と癒着しているためです。かって政官財と言われた利権同盟が、今では政官新と言われるようになっています。それは2019年10月からの消費税2%引上げに際して新聞購読料は据置(軽減税率の適用)と言う特権を得たことでも分かります。国民の誰もが支払う電気・ガス・水道料金でさえ軽減税率とはなっていないのに、全世帯の6割しか恩恵がない新聞の購読料に軽減税率の適用が認められたのは、新聞が自民党の政権維持に貢献しているからにほかなりません。そんな新聞に公正な報道は期待できず、これが購読部数減少の最大の要因となっています。これが是正されない限り、購読部数減少は止まりません。

今後の展望ですが、一昨年が200万部、昨年が240万部減少しており、今年は300万部の減少に迫っていると思われます。このままのペースで減り続けると約10年で0となる計算になります。さすがにこれは無いと思いますが、経済的に新聞を取り続けられる家計は全家計(世帯)の3割程度と思われますので、1,500万部程度までは確実に減少します。こうなると宅配は難しく、駅売りかネット配信に移行すると思われます。ネット配信の場合、料金的には良くて2,000円、購読者を増やそうと思えば1,000円程度の料金になると思われます。この場合新聞社は、印刷部門や営業部門、配送部門などが不要となり、必要要員は今の10分の1程度の規模になると考えられます。

こうなると新聞というよりはインターネットメディであり、新聞と言う業界が消えると思われます。それまでの期間が読売15年、朝日10年、毎日5年ということになります。インターネットメディアの時代になると、ネットメディアへの転換が早い日経が読売に代わり業界首位になる可能性が高いと思われます。