菅前首相はコロナ在宅死200人以上の責任にも触れないと

菅前首相も総選挙の応援に飛び回っているようです。応援演説では在任中にコロナ予防接種を促進したことを取り上げ、「マスコミは私のことを『ワクチン一本足打法』と揶揄していた」「接種が進むにつれて、猛威を振るったデルタ株、勢いがなくなってきたじゃないですか! ワクチンは効くんです!」と自らの実績をアピールしているようです。これについては事実であり、認めてよいと思います。しかし問題はやり方でした。単細胞の河野大臣に任せたため、ワクチンの在庫量も確認しないまま、企業団体を煽り希望する量を割り当てました。その結果ワクチン量が不足し、先行していた自治体の2回目の接種分まで足りない状況を招きました。また接種の準備を進めた1,000社以上の企業が計画を中止するに至りました。手当した会場や接種に当たる医師、看護師、会場の整理に当たるスタッフの確保に要した費用などの損害が発生しています。上手くやればこういう損害は防げたはずであり、菅政権のやり方は片手落ちであったと言えます。

またワクチンを自慢するのなら、コロナに感染しても入院や宿泊療養ができず、在宅療養を強いられ、症状が急変し亡くなられた方が200名以上出たことについても触れるべきです。

コロナは感染症法上2類に分類され、感染した可能性があれば保健所の指示に従いPCR検査を受け、感染が確定したら指定病院に入院しなければならない制度になっていました。これは法定隔離であり、コロナ感染後は国の管理下に入ることになります。この結果コロナ感染者については国の保護責任が生じます。従って国は感染者の入院病床を確保する義務がありました。しかし国は早い段階でこれを放棄し、ホテルなどの宿泊施設での隔離でも良いとしました。さらに感染者が増加すると、在宅隔離でも良いとしました。ホテルなどの宿泊施設の場合、食事も提供され、症状の急変の場合もフロントに連絡すればよいことからまだ安全は確保されます。しかし自宅の場合、同居者への感染があることから隔離にならないばかりか、1人暮らしの場合、食事や症状急変時の連絡に問題があることは明白でした。更に感染者が増えると自宅療養で症状が急変しても病床がないとして、入院できない状態が生じました。これは本当に病床が無ければ仕方ありませんが、病院に病床はたくさんあるのに感染症患者の入院を受け入れる病床がなかったのです。日本には人口1,000人当たり13床(全国には約160万床)と言う世界トップクラスの病床があることが分かっています。これに対してコロナ感染者の入院用に提供された病床は約4万床(約2.5%)しかなかったのです。これはコロナ感染者の入院病床の確保を病院の善意の提供に頼っていたからでした。日本医師会は傘下の民間病院でコロナ感染者の入院を受け入れることに消極的だったにも関わらず、医療崩壊と騒ぎ立てていました。この場合、政府としては感染症法を改正し、民間病院にもコロナ感染者の入院受入れ義務を負わせる必要がありました。菅政権は通常国会終了後コロナデルタ株が流行し、病床が不足したにも関わらず国会を1度も開かず感染症法の改正をしなかったのです。これは国(政府)の保護下にある国民の遺棄であり、不作為による殺人とも言えます。

菅首相は、選挙演説でコロナワクチン促進を誇るのなら、これについても採り上げ、在宅で亡くなられたコロナ感染者に1口でも謝罪すべきです。本件については今後国家賠償請求が提起され、菅首相の責任も問われることとなると思われます。