NHK党は原点回帰しないと所属議員がいなくなる

「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(以下NHK党)は、11月の衆議院総選挙で1議席も獲得できませんでした。かつ投票率2%という政党要件にも達しなかった模様です。ということは、得票数が確定した時点で政治資金規正法上の政党ではなくなると思われます。そうなると政党交付金も受けられなくなりますし、NHKなどの政党討論会に党首が出席できなくなります。NHK党は事実上消滅の危機を迎えていると言えます。(訂正;政党要件は2025年まであるようです。)

私がNHK党の存在を知ったのは2019年初めでした。それは「NHKから国民を守る党」(N国党)というへんてこな名前の党が関東の地方議会で議席を伸ばしていたからでした。当時は東京近辺の20議席以上を争う地方都市の議会選挙があれば必ず1議席を獲得する勢いでした。私も当時NHK受信料に対して憤りを感じて何とかできないかと思っており、正面からこの問題に取り組む政党があることを知って応援したくなりました。N国党はその後も勢いが止まらずその年4月の統一地方選挙では26名の当選者を出し、全国でも注目される存在となりました。その勢いをかってN国党は7月の参議院選挙にも候補を立てると発表しました。しかし選挙まで3カ月程度しかしかなく、かつ資金不足からそんなに多くの人数は立てられないだろうと思っていたら、全国殆どの選挙区に候補を立てました。これは奇跡としか言いようがないことでした。私は、NHK受信料には約18%、約900万世帯の未払い世帯があり、この有権者数は約1,350万人(1世帯1.5人として)と予想されることから、これらの人たちからの得票で、数名の当選者を出せると予想していました。結果は比例区で1名の当選者に留まり、かつ投票率は2%に届かず政党要件を満たせませんでした。しかし何と選挙区で152万票を獲得し、選挙区での得票率が2%を超え政党要件を満たしたのです。これは地方の方がNHK受信料に不満を持っている人が多いことを意味しています。NHK受信料支払率は東京や大阪が50%未満に対して、地方は90%以上が殆どですが、地方の人が納得して払っているわけではないようです。従ってN国党はNHK受信料問題、とりわけスクランブル化を訴え続ければ次の総選挙で大躍進する可能性がありました。これでN国党が大躍進し、NHKスクランブル化も近づけると思っていたら、N国党はおかしな方向に行き始めました。議席を伸ばした原動力であるNHK受信料問題一点突破から、「悪名は無名に勝る」というなんでも目立てばよいという方向に行き始めたのです。「北方領土は戦争で取り返すしかない」と発言し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆議院議員を入党させる、NHK受信料には興味がないと公言する無所属の渡辺喜美参議院議員と共同会派を組む、N国党をテレビ番組で「気持ち悪い」と誹謗したマツコ・デラックスをテレビ局前で待ち伏せする実力行使に出る、など一般有権者が眉を顰める行動を採るようになりました。これはNHK受信料問題を解決すると言うよりは、目立てばよいという行動に思われました。ここら辺からNHK受信料に困っているN国党支持者もだんだん離れて行きました。私はN国党はNHK受信料問題の解決にまじめに取り組んでいれば議席を伸ばせると思っていましたので、大変失望しました。しかしいずれまた元の路線に戻ってくれると信じていました。

しかしその後党名を5回も変えている(NHKから自国民を守る党→NHK受信料を支払わない方法を教える党→古い政党から国民を守る党→嵐の党→NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)ことから分かるように元の路線に戻る気配は全く見られません。今のNHK党にはNHK受信料で苦しむ数千万人の人たちの支持はありません。2019年の参議院選挙で投票した人たちは投票したことを後悔している状況です。これが11月の衆議院総選挙の結果に表れています。

来年は参議院選挙ですがNHK党は1人の当選者も出せず、2%の政党要件も満たせないことは確実です。それ以降N国党として地方議会で議席を得た議員の再選挙となりますが、NHK党の悪評により全員議席を失うこととなります。そして2023年4月の統一地方選挙でNHK党所属の地方議会議員はほぼいなくなります。

NHK受信料問題に苦しむ人たちがたくさんおり、それの解決に取り組んでくれる議員が求められているのは事実であり、それを訴えて当選したNHK党の所属議員は再選される可能性は大いにあります。しかし再選されるためには2つのことが必要になっています。1つは党首が交代することです。立憲民主党でも選挙に負けたことで党創設者である枝野党首が交代します。NHK党も11月の総選挙で敗北しており、党首交代は当然です。2つ目は党名を「NHKスクランブル化を目指す党」(Nスク党)として、「1つの公約の党」の原点に戻ることです。NHKスクランブル化を求める人は数千万人おり、総選挙では1,000万票以上獲得することが可能です。多数の公約を掲げたら他の政党と同じとなり、太刀打ちできません。これが不可能であれば、所属の地方議会議員は離党し、新たに「Nスク党」を立ち上げるときに来ています。