東京に本社を置くメーカーは没落する?

日本の名門企業東芝が3分割を計画しているようです。東芝と言えば家電から原子力までの総合電機メーカーの代表企業でした。それが原子力で躓き、有望事業だったMRIなどの医療機器事業をキャノンに売却し、世界1位を争っていたNANDフラッシュメモリー事業は、外部資本を入れ分離しました。これでも2021年3月期の売上高は約3兆円であり、まだまだ巨大企業です。しかし残った事業の相乗効果が薄くなっており、もはや1つの会社で行うメリットが無くなっていたのも事実です。世界的総合電機会社(コングロマリット)で東芝も目標にしたと思われる米国GEも同じ時期3分割を決定しています。そういう意味では世界的に総合電機会社の時代が終わったのかも知れません。

東芝は東京のサラリーマンにとってはJR田町駅に直結した巨大な東芝ビルが有名です。あのビルと見てると東芝がメーカーだと言う印象はしません。私は物を作る会社の本社があんな東京のど真ん中にある必要があるのかといつも疑問に思っていました。それは同じく田町駅の近くにあるNEC本社ビルを見ても同じです。JR田町駅近くには三菱自動車の本社もあります。この3社はいずれも業績不振に陥っています。いずれもメーカーとして工場が利益の源泉なのに、それを全く感じられない佇まいとなっています。ここに毎日通っていればメーカーであることを忘れてしまいます。

大阪では三洋電機が解体され、シャープは台湾の鴻海に買収されました。そして家電メーカーとして唯一残ったパナソニックも事業の再編を進めています。これも大阪に本社を置き、メーカー感覚が薄れたことが原因のように思われます。

東京・大阪に本社を置くメーカーと対極をなすのが愛知と京都のメーカーです。愛知にはトヨタを初めとした多くの自動車関連企業の他ブラザー工業、日本ガイシ、カゴメ、ミツカン、星崎電機、シャチハタ、バッファローなど特色のなるメーカーが多数あります。どこも業績不振とは無縁です。京都には京セラ、村田製作所、日本電産、任天堂、オムロン、島津製作所、SCREENなどきらりと光る企業が目白押しです。かつ世界市場で売上を伸ばしている企業が多いことも特徴です。

ここまでの分析で分かることは、メーカーの本社は東京や大阪よりも愛知や京都が良いということです。愛知や京都でも名古屋市や京都市は大きな町ですが、東京都区や大阪市とは雰囲気が全く違います。地方都市の素朴さやまじめさを持っています。一番違う点は、そこの住民(会社員)が自分を見失ってないということではないでしょうか。東京や大阪は激しい競争のなかで会社員が自分を見失い、流されながら生活しているように思われます。これでは良いモノづくりはできません。それが東京や大阪に本社を置くメーカーの没落に繋がっているように思われます。

これから、東京や大阪に本社を置くメーカーは中核工場がある地方都市に本社を移した方が良いと言えます