熊本は台湾企業の誘致に力をいれるべき
世界一の半導体受託製造企業TSMCの熊本進出決定により、熊本の自治体が支援体制を強化しているようです。先ず最初に熊本県が11月19日「半導体産業集積強化推進本部」立ち上げました。同時期に工場建設地である菊陽町が、その後熊本市、八代市、益城町が同様な組織を立ち上げています。人材養成については、11月8日熊本大学が来春「半導体教育研究センター」を開学する計画を発表していますので、支援体制は急ピッチで整備されていることが伺えます。
いずれの自治体もTSMCの進出に伴い、多くの関連企業の進出を見込んでいると思われます。特にTSMCが工場を建設する菊陽町に隣接する益城町は、町内6カ所を候補に工業団地の整備を検討しているとのことです。
多くの自治体の誘致のターゲットは国内の半導体関連企業だと思われますが、熊本の将来の発展にとってより重要となるのは台湾企業の誘致です。TSMCは主力工場を台湾に置いており、台湾に多くの取引企業があります。長年の取引関係からそのうちの相当の企業がTSMC熊本工場にも納入するものと考えられます。その場合台湾から輸出する企業が多いでしょうが、日本進出も兼ねて熊本に工場建設を検討する企業も少なくないと思われます。従ってこの企業を対象に誘致活動を進めることが考えられます。台湾企業が日本進出に際して一番重視するのは、台湾から行く職員の生活環境になります。従って、次のような環境整備をする必要があると思われます。
- 台湾企業専用の工業団地を造る
- 台湾からやって来る人たちがまとまって住める居住地域を整備する
- その居住地域に台湾食品のスーパーや飲食店・幼稚園・学校などを整備する
- 病院に中国語を話せる医師か中国語通訳を用意する
要するに台湾で生活するのと変わらない環境を整備して上げることが誘致の肝になると考えられます。台湾企業の誘致が成功すれば、その後台湾企業が日本に進出する場合、環境が整備されている熊本ということになりますし、大きな台湾タウンもでき、熊本と台湾の行き来が盛んになります。そうなれば熊本空港と台湾との定期便が定着し、九州において熊本が台湾への窓口となります。また半導体の教育研究では台湾の大学が進んでいると思われ、熊本大学が台湾の大学と提携し、台湾の半導体教育カリキュラムを導入することも考えられます。こうして経済面だけではなく、学術・文化面でも交流を深めて行く必要があります。こうして台湾の成長力を熊本に取り込んで行きます。熊本にとり台湾は今後の発展を左右するキーカントリーになります。