国会議員は「何もやってないじゃないか!」で落選させられる!

昨年10月の衆議院選挙で東京8区から立候補し11回連続当選を目指した自民党の石原伸晃元幹事長が落選しました。これは自民党の甘利幹事長が選挙区で落選したことと並ぶ大物議員の落選でした。石原氏の場合、選挙告示日10月19日のある出来事がニュースになりました。翌日の日刊スポーツにはそのときの様子が次のように書いてあります。

==(石原氏が)マイクを握った瞬間、最前列の歩道から「何もやってないじゃないか!」と、絶叫して批判を繰り返した女性がいたため、演説を中断。石原氏は女性が退散した後に「今回の選挙は、今おられた女性の言動を見ても少しおかしいなと思われた、と思います。杉並区で10回、選挙をさせていただきました。演説が始まる前に文句をつけられたのは今日が初めてです」と苦笑した。==

私はこの記事を読んで「石原氏は落選するのでは?」と思いました。それはこの言葉があまりにも石原議員のこの4年間、というよりはこれまでの議員活動を的確に表現しており、これを聞いた本人もとても動揺しているように思えたからです。たぶんそこに居合わせた聴衆も「なんてぴったりな言葉だ」と思った人は多いと思います。石原氏にとって選挙期間中この言葉が頭にこびりついていたのではないでしょうか。このような1つの言葉が議員を落選させたのは初めてケースだと思われます。

甘利幹事長にはこの言葉は使えません。というのは、甘利氏は議員としては良くやっていたからです。安倍政権には経済財政政策担当大臣(特命)として環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の日本側責任者を務めて成立させましたし、経済産業大臣、自民党政調会長、同税制調査会長などの要職を務めており、かつ実績も挙げています。従って甘利氏にこの言葉をぶつけても石原氏に対するような説得力はなかったと思われます。甘利氏の場合は、URに対する斡旋収賄疑惑が落選の原因でした。

甘利氏のような不正疑惑があれば落選運動もやりやすいですが、石原氏のように不正疑惑がなく何回も連続して当選している議員の場合、なかなか攻め手がありません。しかし何回も当選していながら最近は何もしていない議員も多くなっており、このような議員には「何もやってないじゃないか!」という言葉は、有権者の共感を呼び、落選の流れを作れる可能性があります。

国会議員には80代、70代の「何もやっていない」議員が少なくないので、これらの議員には選挙の告示日に「何もやってないじゃないか!」と言う言葉を掛ける(あるいはプラカードを掲げる)のが効果的と考えられます。