大学の一般入試は取柄の無い生徒の進学ルート化
大学入試が終盤を迎えています。私立大学の場合、AO(入試以外の選抜)、推薦および内部入学で5割を超えてる大学が多くなっており、一般入試枠がどんどん少なくなっているとのことです。
2月の新聞に、東北大学と早大でAOや推薦で入学した学生と一般入試で入学した学生の大学での成績を比較したら、変わらないという結果が出たという記事がありました。東北大学のAO入学者の割合は約18%で早大は5割を超えているようですが、これが一般入試と変わらないレベルだとすれば、今後の入学者選抜方法の方向性が見えてきます。
ズバリ一般入試は取柄のない高校生(生徒)の進学ルートとして、その割合は最終的には私大で3割程度、国立大学で5割以下になると予想されます。考えてみれば今の大学は専門学部ごとに学生を募集しており、当然専攻に関して高校時代に顕著な実績を上げた生徒はAOや推薦で選抜します。例えば理学部では数学や生物オリンピックでメダルを獲得したような生徒やメダルは獲得しなくても日本代表になった生徒をAOや推薦で選抜します。またSSH指定校で科学部に属し、海外で成果を発表したような生徒もAOや推薦で選抜されているようです。その他工学部の情報処理部門では高校時代に応用情報処理技術者試験に合格した生徒が優先的に選抜されているようです。この資格は大学情報処理部門で学んだ学生が3年次以降に取得することが多い資格であり、大学情報処理部門の3年次に編入可能な生徒となりますから当然です。こう見てくると大学工学部では高専や工業高校の生徒からの選抜が増えることが予想されます。最近長崎県の諫早商業高校情報科39名のうち28名が基本情報処理技術者試験に合格したという報道がありましたが、この試験も大学情報部門2年次以降で取得する学生が多く、諫早商業の合格した生徒は大学情報部門2年次の実力を持っていることになりますから、AOや推薦で選抜されてもおかしくないと思われます。このように大学が専門学部制をとればAOや推薦では職業高校の生徒が有利となることが分かります。AOや推薦による入学枠の増加は高校普通科を大学専門学部に繋がるような学科に分化させることになります。
これにより高校生は先ず自分の専攻を早く決め、進学したい大学の専門学部で有益な実績や資格を取得して、AOや推薦で選抜されることを目指す必要があります。その結果、一般入試はAOや推薦に合格する取柄(特徴)を持たない生徒の進学コース化することになりそうです。