テレビのコメンテーターはタモリを見習うべき
3月18日午後8時から10時まで放送されたテレビ朝日タモリステーションで主役であるはずのタモリ(敬称略)が殆ど喋らなかったことが話題になっています。テーマは「〜欧州とロシアの挟間で ウクライナ戦争の真実〜」となっていて、このテーマを見たとき私は「良くタモリが受けたな」と思いました。というのは、このテーマとタモリのイメージが結びつかなかったからです。タモリと言えば「笑っていいとも!」や「ミュージックステーション」での軽妙な司会や「ブラタモリ」での碩学ぶりで有名ですが、これにはしっかりしたバックグランドがあります。しかしウクライナ問題のような政治・外交テーマについては、どちらかと言えばタモリは対極にいるような感じがします。そこでどんな進め方をするのだろうと気にはなりましたが、期待する内容にはなりそうに無かったので私は見ませんでした。その時間はBSでプロ野球巨人対ロッテ戦を見ていました。佐々木対ポランコ、岡本の対戦は見応えがあり、見て良かったです。その間タモリステーションにちょっとチャンネルを変えたことがありあました。画面中央のテーブルに大下アナが、向かって左手に小木アナが、そして右手にタモリがいました。私はタモリステーションとなっているのだから当然タモリが中央にいるだろうと思っていたので、先ずこの配置にびっくりしました。これはタモリを中心に進める配置ではありません。雰囲気的に引き込まれなかったので、直ぐにチャンネルを野球に戻しました。
そして今日のネットや紙面での評判です。ある記事によると「〝主役〟のタモリはスタジオの中央に鎮座し、神妙な面持ちを崩さなかったが、まったく話を振られることはなかった。番組終盤になってようやく大下アナに「今日は2時間にわたってお送りしてきましたが…」と振られると、タモリは「こうしている間も大勢の人が亡くなっている。一日も早く平和な日々がウクライナに来ることを祈るだけですね」とまとめた。」となっています。
これに対してSNSでは「タモリさんが話さないことが気になって大下さんの話が入ってこなかった」「タモリさんが番組に名前を貸しただけじゃないの」「一言が重い」「あの状況でしゃべらない選択は普通はできない。かっこいいと思った」「置き物!」などと賛否両論が沸き起こっている、とのことです。
これはタモリの賢い判断だと思います。この問題についてタモリがペラペラ喋れば、「ブラタモリ」で培った碩学の評価を棄損してしまいます。1つの分野を極めた人は、自分が足りない分野でペラペラ喋ることはないはずです。タモリはこれを実践したことになります。今回のタモリの対応は、事前に番組の会議で話し合われスタッフの了解が得られていたはずです。そうでないと大下アナがタモリに振らずに番組を進行することは不可能です。
タモリのこの態度は、多くのテレビコメンテーターに見習って欲しいと思います。多くのワイドショーやニュース番組にたくさんのコメンテーターが出演していますが、専門外のことにペラペラと論評を加えています。特にウクライナ問題では、ロシアやウクライナに詳しくなく外交や軍事問題には素人であるにも関わらず、です。その人たちは喋る度に自分の評価が落ちていることに気付いていないのでしょうか。またテレビはこんなコメンテーターを起用していることで視聴者から見捨てられていることが分かっていないのでしょうか。テレビ朝日のニュースステーションの視聴率が上がっているということですが、あれはコメンテーターの人選が良いせいだと思われます。特に防衛省防衛研究所兵頭慎治氏のコメントは一番信頼できます。各テレビ局はこういう人選をしないと視聴者を獲得することは難しいと思われます。そして兵頭氏のような専門性がないコメンテーターは、今回のタモリの対応を見習うべきです。