「東大3回落ちた」が岸田首相の全てを暗示
昨年10月首相に就任してからその人柄の良さから急上昇だった岸田首相の人気が下落してきたようです。最大の原因はコロナの予防接種が遅れたことですが、更にウクライナ危機の発生で岸田首相の対応力に疑問が生じています。コロナの予防接種については、岸田首相誕生時には感染が低下しており、このまま収束するのではという期待もあったことから、気が緩んだようです。それはワクチン担当大臣に堀内詔子衆議院議員を任命したことからも分かります。堀内議員は国会の質疑で頓珍漢な答弁を繰り返し、失笑を買っています。岸田首相はもうワクチン問題は重要でないと判断していたと思われます。ここに岸田首相の勝負勘の無さが表れています。そのほか岸田首相の組閣の特徴は、大学の卒業旅行のように今の任期で引退を考えている議員を大臣にしたことです。湯之上国家公安委員長や金子原次郎農水大臣がこれに当てはまります。こういう議員は大臣をつつがなく勤めあげることしか考えませんから、成果は期待できません。
このように岸田首相には、何が何でも成果を出すという意識が欠落しています。この点が摩擦はあっても成果を出すことに執着した菅首相と大きく違います。それは岸田首相が議員2世でコネでここまで来たせいだと思われます。例えば、大学卒業後に入社した日本長期信用銀行は、間違いなくコネです。3浪の早大卒では先ず長銀には入社できません。長銀は国策銀行として誕生していますから、親が有力政治家の子息は政界工作を期待してほいほい採用します。岸田氏は議員になってから加藤の乱で加藤紘一議員を支持して宏池会を脱会し、その後戻っていますが、このとき当時の宏池会堀内光雄会長が岸田氏を招き入れたと言われています。堀内詔子議員はこの堀内会長の息子光一郎富士急行社長の嫁であり、コロナ担当大臣任命は故堀内光雄会長への恩返しであると思われます(尚堀内光一郎富士急行社長は一時長銀に在籍しており、岸田首相の後輩にあたる)。そして昨年自民党総裁選に立候補したのは、自分の野望というよりも宏池会会長としての義務感からだと思われます。岸田氏に自民党総裁、首相なるという大志があったとは思えません。それは総裁選での借りてきたような公約からも伺えます。最初注目された所得倍増計画は総裁就任後あっさり取り下げています。このように岸田首相には大志がありません。誰かに言われたことを役割としてやっている感じがします。その結果岸田内閣には何の成果も期待できなくなっています。
岸田首相のこのような本質は総裁選前に暗示されていました。岸田首相はよく「東大に3回落ちた」ことをネタにしていたようですが、これは岸田首相の本質を端的に表しています。それは目的達成意欲の低さです。たぶん東大も自分がどうしても行きたかったというよりも、周りが期待していたから3回も受験したのではないでしょうか。それでは合格できません。このように岸田首相には目的を設定して達成するという意欲が感じられません。ただし例外が1回だけあります。それは開成中学合格です。今は首相になっていますが、これは自分の努力によるものではなく棚ぼた的な感じが強いと思います。このように岸田首相は、何かの目標を設定してやり遂げる人ではなく、岸田政権では大きな成果は期待できないと思われます。