日本に3度目の原爆が落とされる可能性が高いわけ

ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用も辞さない構えです。ロシア一国でウクライナに侵攻し、欧米を始めとした世界の殆どの国を敵に回しているのですから、その心構えがないとこの戦争は遂行できません。従って単なる脅しではないように思われます。これにより米国およびNATOはウクライナへの直接介入を控えていますから、効果絶大と言えます。これまで核兵器の使用は相当追い込まれてから言及されるものとばかり思っていましたが、戦いの始めに核兵器ありということが分かり、これから世界各国は自国で核兵器を持つこと、あるいはNATOのように核保有国と核を共有することを考え始めると思われます。これまで軍備拡大には後ろ向きだったドイツも防衛予算の倍増を打ち出し、核搭載用に米国のF35戦闘機を35機購入することを表明しています。ロシアとNATOは核兵器で均衡を保っている状況です。

一方ロシアと国境を接する日本でも核兵器に関する議論が活発化しています。先ず安倍元首相がテレビ番組で核共有についても議論する必要があると述べて口火を切りました。続いて自民党の高市政調会長が政府の非核三原則のうち「持ち込ませず」については見直しが必要と述べ、核共有ではなく米国の核持ち込みを認めるべきとの主張を始めました。これは核共有を実現するには時間がかかるとの考えから、その前のプロセスとしての主張かも知れません。と言うのは、核共有の前提にはNATOのような相互防衛体制(集団安全保障体制)が必要ですが、日本が核共有を考える米国との安全保障体制は、米国が一方的に日本を守ると言う片務防衛体制ですから、先ずは相互防衛体制に移行する必要があります。それまでは核持ち込みで対応するのが現実的であることは間違いありません。

日本の周りを見ると、中国・北朝鮮・ロシアと専制君主的な核保有国が取り巻いています。この3国は実質的に軍事同盟関係にありますので、日本がこの1国と交戦すれば他の2国も参戦します。同盟関係を強固にするチャンスだからです。日本1国でこの3国に対処できるわけがなく、日米安全保障条約による米国の出番となりますが、今回のウクライナ戦争で分かったように米国は核戦争に発展する可能性がある他国の戦争には直接参戦しない可能性が大きいと思われます。それにアフガン撤退を見れば分かるように、自国とは無縁な紛争にも関与しない方針が鮮明になっています。この流れを考えると、日本がこの3国のいずれかと交戦状態になった場合、米国は直接交戦せずウクライナのように武器の供与に留まる可能性が大きいと考えられます。むろん保有する核兵器など使いません。核兵器を使うのは自国が攻撃された場合のみです。

一方この3国は割合簡単に核兵器を使用すると考えられます。日本には核兵器を使う条件が揃っています。

先ず、人口が約1億2,000万人と多く、GDP世界3位、自衛隊も世界10位以内の軍隊に入ることから、核兵器を使用しないと日本を降伏させられないことです。

次に、これに対して日本が核兵器を持たず、報復として核兵器を打ち込まれる危険がないことです。

3つ目に、日本が島国であり核兵器の放射能が自国に影響を及ぼさないことです。放射能の影響を日本だけに留めることができます。

4つ目に、核被爆国を増やさないことです。これまで核爆弾が落されたのは日本の広島と長崎の2回だけであり、その悲惨さは日本しか知りません。日本なら核の悲惨さを他国に拡散せずに済むのです。

5つ目に、福島原発事故で広範囲に放射能汚染されており、核兵器を使っても新たに汚染されるわけではないということです。

このように日本は3回目の核被爆国になる条件が揃っています。1954年に発表された浅田石二作詞・木下航二作曲の「原爆を許すまじ」という歌の中に『三度許すまじ原爆を』という歌詞があるそうですが、それを実現するためには、核兵器攻撃されない防衛隊体制が肝要です。核兵器を打ち込んだから報復に打ち込まれるという体制しか抑止力にはなり得ないと考えられます。