軍事支援しなければ軍事支援受けられない
ウクライナ外務省がツイッターに31カ国の支援に感謝するメッセージを載せましたが、その中に日本が含まれていなかったことが話題となりました。自民党の佐藤正久外交部会長がツイッターに「支援国の中に日本国無し。これはダメだ」と投稿し、相当支援しているつもりだった政府自民党にとってはショックだったようです。そのため日本の外務省がウクライナ側に説明を求めたところ、ウクライナ側からは、「あのツイッターは武器支援を行った国々への謝意を示したものであり、軍事支援を行っていない国は載っていない、日本のこれまでの支援には感謝している」との説明があったとのことです。
多分その通りだと思いますが、ロシアとの戦いに明け暮れるウクライナにとって、軍事支援をしてくれる国とその他の支援に留まる国とでは有難さが違うことが分かります。大体軍事支援をしない国は、ロシアとの関係で腰が引けている国であり、支援のポーズだけと言えます。日本が典型例ですが、日本は軍事支援が出来ない理由を憲法9条のせいにしています。それなら憲法9条は戦力の保持を禁止しており、自衛隊の存在も許されないことになります。この解釈はこれまで少数派として存在しましたが、ロシアのウクライナ侵攻によって姿を消したと言ってよいと思います。この意見の急先鋒だった共産党さえ自衛隊を活用すると言っています。
このように現在憲法9条はほぼ無効化しており、軍事支援できない理由にはなりません。日本政府が軍事支援をしないのは憲法9条に基づくものではなく、ロシアに睨まれたくないからです。ウクライナはこれが分かっているから、31カ国から日本を外したと考えられます。また日本が軍事支援以外でウクライナを支援するのは、安全保障を委ねる米国や今後同盟関係を築く必要があるNATOに気に入られるためであり、純粋にウクライナ支援のためではありません。ウクライナの国民性はほぼロシアであり、日本との相性はよくありませんから、ウクライナとの関係はどうでもよいのですが、軍事支援できないことがNATOとの関係で障害となりそうです。それはNATOに軍事支援を求められた場合も憲法により軍事支援できないとなると、NATO(中心は米国)に加盟できないからです。そうなると日本は単独でロシアや中国と軍事的に対峙するしかなくなりますますが、これで自衛することは不可能です(NATOに加盟できないと米国の支援も期待できない)。
主権国家の憲法は本源的に自国の防衛に必要なあらゆる措置を認めており、日本がNATOと同盟関係を組む(日本がNATOに加盟する)ことは可能です。ただしNATOは軍事支援で結束している団体であり、憲法上軍事支援できない国は加盟できません。即ち、日本がNATOに加盟するには、憲法上軍事支援できないという言い訳は通じないのです。いい加減憲法9条を軍事上の言い訳に使うのは止める必要があります。
(尚日米安全保障条約は、相互防衛義務となっていないため、有事には機能しない可能性が高く、NATO加盟で補完する必要があります。)