成功したければ失敗を心に刻まないこと

安倍元首相の国葬が9月27日に行われました。ある新聞調査によると反対は70%にも達していました。普通なら生前多少行いが悪かったにしても故人になれば静かに葬送するものですが、安倍元首相についてはこの常識が通じませんでした。首相時代の行いに腹を据えかねていた国民が多いことが分かります。こうなると遺族にとっては自ら望んだことでもない国葬を決めた岸田首相を恨みたくもなると思われます。一方岸田首相は支持率が急落しており、1つの決断ミスが政治家には命取りになることを痛感することとなっています。これだけ岸田首相の支持率が急落したのは、選挙応援中に暴漢に銃撃され死亡したという歴史上稀に見る悲劇とは言え、首相在職中に加計問題、森友問題、甘利問題、黒川問題、桜を見る会問題など問題が多かった安倍元首相の葬儀を国葬とすることにした岸田首相の決断力の貧困さが明らかになったためと思われます。

岸田首相の決断力の貧困さはこれまでも国会答弁で「検討します」を繰り返し検討使と揶揄されていたことから予想されていました。これがはっきりと表に現れたのが今回の安倍元首相国葬決定だったと思われます。これも多分岸田首相本人にとっては誇らしい決断だったと思われますが、これが大きく外れたのです。今後岸田首相には大きな決断は任せられないことがはっきりしました。

このように岸田首相の決断力が貧困になったのは、2000年に加藤の乱に参加し、敗北したことが原因になっているように思われます。これへの参加は、岸田氏にとって大決断だったと思われますが、これが失敗したことで岸田氏は大いに反省し、決断を封印したと思われます。その後岸田氏は宏池会に復帰し会長となり、首相にもなっていますが、これは流れに身を任せた結果であり、岸田氏自身で決断した訳ではありません。安倍氏国葬決定は岸田首相にとり加藤の乱参加決定以来の大きな決断だったように思われます。

ここで不思議なのは加藤の乱の失敗を心に刻んだ岸田首相がなぜまた同じ大失敗をやらかしたかと言うことです。実は失敗を悔いて心に深く刻み込む程同じような失敗を繰り返すことになります。そんな馬鹿な、と思われるでしょうが事実です。マーケティングにAIDMA(アイドマ)の法則というものがありますが、これはAttention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取ったもので、消費者が商品を購入に至る場合の心理の動きを表しています。先ず商品に注意(意識)が行き、次に関心を持ち、欲しくなり、意識(記憶)に刻まれ、購入行動(決断)に至ると言うことを表しています。広告はこの流れに沿うよう考案されています。これは人のあらゆる行動にも当てはまります。例えば大きな成功をした人は、その成功体験が記憶に刻まれ、その成功体験に近い現象に出会うと飛びつきます(Attention)。その結果成功が続くことが多くなります。認識の始まりが成功体験なのです。逆に失敗を心に深く刻み込んだ人は、その失敗体験に近い現象に出会うと身構えます。認識の始まりが失敗体験なのです。しかしこの後が問題で、失敗体験に似ていてもよく話を聞いていく、調べて行くと失敗体験とは異なるところがたくさん出てきて、だんだん失敗体験とは違うと考えるようになります。そして失敗体験とは違うから成功すると考えて肯定的に判断してしまいます。結果は最初に失敗体験と似ていると思った直感が正しくて、また失敗してしまいます。こうやって失敗を深く心に刻み込んだ人は失敗の連鎖が続く、または大きな成功が得られないこととなります。従って失敗は深く心に刻まず、やり過ごすことが重要です。