NHK割増金を認めた自民党に投票しないこと

総務省がNHKから申請のあった受信料未払い者に受信料の2倍の割増金を払わせるようにするNHK受信料規約の改正を認めたことで、今年の4月から受信料未払い者には受信料の2倍の割増金が請求されることになるということです。これを実施するためにこれまで曖昧だった受信料契約を結ぶ時期も、「テレビを置いた月の翌々月の末日まで」と規則に明記したようです。

これによりNHKは受信契約を締結しながら受信料を支払らっていない人には割増金が課されることを前面に出して支払いを請求して来ることになります。一方受信契約を結んでいない人は受信機の設置の確認が取れない人が多いと思われ、割増金制度で受信契約が劇的に増えるということはないと思われます。割増金制度の導入は前田会長が受信契約の締結業務や受信料の徴収業務の外注を廃止することにより受信契約数や受信料徴収が減少することの対策として総務省に認めさせたものであり、委託費約600億円の減少が今年10月からの値下げ(約700億円)の原資となっています。委託は昨年から徐々に廃止していますが、昨年4月~9月の半年間で受信契約の総数が19万8千件減少しており、この影響が伺えます。それでも率にすれば0.5%とわずかであり、受信料支払率は2021年3月末79.6%に対して、2022年9月末は79.0%と0.6%の減少に留まっています(契約件数は2022年9月末で4,135万件)。この数字から考えると割増金の導入により一時的に受信料支払い率が上昇し、短期的には値下げ額(年間約700億円)を上回る増収となる可能性があります。割増金の導入が4月で、値下げが始まるのが10月にしたのは、割増金による増収で値下げの原資が出ると考えてのことと思われます。

現在物価の上昇により家計は節約を迫られており、NHK受信料は格好のターゲットになります。NHK受信料の不払い率約20%は、年収200万円未満の勤労者の割合とほぼ同じであり、NHK受信料を支払わない理由の大部分は生活苦が原因である可能性が高いと思われます。これが分かれば収入の低い人ほど高負担となるNHK受信料が如何に不条理な制度かが分かります。今後は割増金の支払いを求められた場合テレビを破棄する人も出て来ると思われます。従って今後はテレビを破棄する家計がぐっと増え民放やテレビメーカーにも大きな影響を与えることになります。

このようにNHKの割増金の導入は家庭から民放を見る楽しみを奪うばかりでなく、民放の経営を圧迫し、同時に日本のテレビメーカーを衰退に向かわせます。これが分かれば総務省が今回の割増金を認めたことは間違った判断と言えます。世界的に見ればNHK受信料の手本となっている英国BBC受信料は、2020年の総選挙で保守党が廃止を公約に掲げ大勝したことから、2027年に廃止されることが確実視されています(BBCは放送免許を返上しネット放送局への移行を計画していると言われている)。フランスでは昨年5月マクロン大統領が3月の大統領選挙で公約したフランス公共放送受信料を廃止しました。このような世界の趨勢の中で総務省がNHKに割増金の導入を認めたことは時代に逆行するものです。ではこれは総務省だけの判断かというとそれは有得ません。NHKは新聞と並ぶ自民党の世論操作手段であり、自民党がNHKの守護神となっています。自民党は「放送法の改正に関する小委員会」を作り、「言うことを聞かないと放送法を改正するぞ」とNHKに睨みを利かせています。世論の多数はNHKスクランブル化ですからNHKにとって自民党、とりわけ「放送法の改正に関する小委員会」は頼みの綱となっています。今回の割増金の導入もこの小委員会の承認なしにはあり得ませんでした。このことが分かると、NHK割増金をけしからんと考える人は選挙で自民党に投票しないことが一番肝要です。