熊本市が都市高速を作るのなら鉄道空港線は不要では?

熊本市の大西市長は2月22日の市議会で熊本市中心部と熊本空港などを結ぶ高規格道路(都市高速)構想について3期目の任期中に都市計画の手続きに着手する(実現に向けて動き出す)方針を示したと言う報道です。 この構想は3つの高規格道路をつくり市中心部から九州自動車道まで10分、熊本空港まで20分で移動できるようにしようというものです。熊本市は熊本城の城下町として発展したため、入り組んだ狭い道が多く、交通受渋滞が慢性化しています。私は市内出身ではありませんが、熊本空港に行くときに道路が渋滞し困ったことがあります。そのため蒲島知事の豊肥線から分岐する鉄道空港線構想には大賛成でした。今住んでいる福岡市の福岡空港の利便性(市中心部から15分で行ける)を経験しているせいでもあります。鉄道空港線については昨年12月に肥後大津分岐でJR九州が運営し、2034年開業を目指すことに決定したと言う報道です。

鉄道空港線は熊本市内または熊本駅から空港までの時間短縮が最大の目的ですが、熊本市が都市高速空港線を作るとなると目的がバッティングします。鉄道だと熊本駅から40分、水前寺駅から30分程度であり、高速バスだと熊本駅から30分、市の中心部から20分程度となることから、時間的にはバスが便利となります。また鉄道は駅まで行くの時間がかかりますが、バスは市内で乗車できることから、この面でもバスが便利です。こう見てくると、都市高速空港線を作るのなら鉄道空港線は要らないのではないかという考え方も出てきます。鉄道空港線には約410億円かかり、国と県、JRが3分の1ずつ負担することになる可能性が大きいようですが、これを止めれば県の負担約140億円を都市高速の費用に回せます。ただし都市高速は借入金で建設し通行料を徴収して返済する案のようですので、140億円が浮くという話かも知れません。鉄道空港線についてはTSMCの菊陽進出に伴い飛行機で来る関係者の利便性向上も狙いの1つのようですが、関係者でも幹部は迎えの車が来るか、タクシーを利用しますから、それ程利用されないと思われます。TSMC勤務者のうちソニーからの出向者や取引先企業の熊本勤務者には東京や大阪からの単身赴任者も多いと思われ、この方たちの帰京や帰阪には便利かも知れません。

熊本市の都市高速空港線の計画は鉄道空港線が決まった後に具体化したものであり、鉄道空港線計画の中では考慮されていないと思われます。鉄道空港線は県議会で承認されたわけでもなく、また予算も確保されていないので、再検討する時間はあると思われます。デュープロセス(適正な行政手続き)の一貫として再検討する必要があるように思われます。