こども対策財源は「こどもファンド」の運用益で
岸田政権が掲げる「次元の異なる少子化対策」には3兆円規模の財源が必要と見られていますが、医療保険の保険料に上乗せすることよって確保する案が有力との報道です。医療保険に上乗せした場合、所得に一定の比率を乗じて算出することになると思われ、実質所得税の増税と同じ結果となります。増税だと国民の反発が多いため、医療保険に上乗せして徴収することにしたものと思われます。こども対策のうち分娩費やこどもの医療費の無償化など医療機関に支払う費用については医療保険に上乗せるのも妥当ですが、児童手当などは純粋に国の政策費であり、医療保険の上乗せで徴収するのは無理があります。それに医療保険および税金のいずれで徴収しても3兆円と言う金額を国民から徴収すれば、その分国民は支出を押さえますから消費が落ち込むことことになります。昨年からの物価上昇は、バブル崩壊後30年以上低迷していた日本の物価が世界水準へサヤ寄せを始めたと見ることができ、それが正しいなら今後長期間続くことになります。一方所得については、日本の企業の競争力が低下しているため国際水準にサヤ寄せできる企業は多くなく、国民の多くは生活が苦しくなる一方だと思われます。従ってこども対策費3兆を医療保険や税金として国民から徴収すれば、自民党政権は終わると考えた方が良いと思われます。今年4月の統一地方選挙で維新が躍進しており、国民の中に一度維新に政権を執らせてみたいという意識が膨らんでいるように思われます。維新は本拠地である大阪で府議会の定数を10年間で30議席(109→79)減らしていますし、来年から段階的に大阪府民に対して高校と大阪公立大学の授業料を所得制限なしで無償化するなど、国より一歩進んだ政策を実施しています。既得権益のバランスのうえで何も変えられない自民党政権より期待できます。こども対策はどこが政権を担っても必要な対策であることは間違いありませんが、自民党と維新では財源の捻出で大きな違いが表れると考えられます。
私はこども政策の財源として「こどもファンド」を創設し、その運用益を充てることを提案します。10兆円の大学ファンドを創設し、その運用益で大学の研究力を上げようとする政策と同じやり方です。大学ファンドの場合、2~3%の配当利回りがある潰れない大手企業の株式で運用すれば、2,000~3,000億円の運用益が可能です。これの良い点は国民の懐が痛まない点です。10兆円は財政投融資から支出され、ファンドの期限が終了した場合には株式を売却して返済されます(多分無期限)から、原則国民負担は生じません。それに今後物価の上昇に伴い株価は上昇する可能性が高く、ファンド資産も上昇すると考えることが出来ます。こう考えるとこどもファンドを創設し、その運用益をこども対策にあてることは合理性があります。例えば100兆円のこどもファンドを創設すれば、3兆円の運用益(配当収入。継続的な配当が期待できる日本の代表企業の株式で運用する)が可能であり、こども対策費の全部を賄うことができます。運用益が足りなかった場合、国債で補填し、運用益が上回った場合には国債を償還します。これは企業の利益をこども対策費に充てるということであり、日本経済の維持・発展を考えれば妥当な財源と言えます。こういうことを考えないとこども対策と国民の生活が両立しません。